「点検に来ました」は本当か。分電盤の点検商法の相談が1年で5倍に増えた理由と断り方

「電力会社の者ですが、分電盤の点検に伺います」。こう名乗って家を訪れ、高額な交換工事を契約させる手口が広がっています。国民生活センターに寄せられた分電盤の点検商法の相談は、2025年度に6,545件。前年度の約5倍で、契約した人の8割以上が70歳以上でした。
3行でわかる
- 分電盤の点検商法の相談は、2024年度1,290件、2025年度6,545件と急増した。2025年度は70歳以上が8割を超えた。
- 2025年度の消費生活相談では、点検商法が1万9,696件、身分を偽る「かたり商法」が3万9,019件、家庭訪問販売が5万2,740件だった。
- 国民生活センターは、法定点検の後に調査員が交換工事の契約を持ちかけることはないとしている。
01犯罪者側から見ると何が起きているか
訪問者を装う側は、電力会社や役所など信頼される名前を名乗り、「法律で決まっている」「危ない」と不安をあおって、その場で契約させようとします。
国民生活センターの事例では、70歳代の女性のもとに「電力会社のものですが分電盤の点検に伺います」と連絡がありました。訪れた人に「耐用年数は法律で15年」と言われ、約14万円の契約をしてしまいました。
信頼できそうな名前、法律という権威、そして「今すぐ」という急がせ方。この3つが重なると、人はその場で判断してしまいやすくなります。
02研究と統計でわかっていること
点検を口実にした訪問のトラブルは増え続けており、特に高齢者が多く狙われています。
国民生活センター(2026年9月)[1]
分電盤の点検商法の相談は、2022年度14件、2023年度39件、2024年度1,290件、2025年度6,545件と増え、2025年度は前年度の約5倍になった。2025年度の契約当事者は70歳以上が8割を超えた。法定点検では、点検後に調査員が分電盤の交換工事の契約を持ちかけることはないとしている。
対象: 全国の消費生活センターへの相談 / 限界: 相談されなかった被害は含まれない。
国民生活センター(2026年8月)[2]
2025年度の消費生活相談は100.6万件で、契約当事者は70歳以上が25.6%と最も多かった。販売方法・手口別では、家庭訪問販売が5万2,740件、身分を偽るかたり商法が3万9,019件、点検商法が1万9,696件だった。訪問購入では70歳以上が55.9%を占めた。
対象: 全国の消費生活相談 / 限界: 相談の件数で、被害の全体ではない。
警察庁(2025年)[3]
匿名・流動型の犯罪グループの資金集めの手段として、SNSで募集した実行役による組織的な強盗や、悪質なリフォームの事件を挙げている。こうした犯罪で検挙された人の約6割は20代までの若者で、約3割はSNSの犯罪実行者の募集に応じていた。
対象: 警察の検挙状況 / 限界: 訪問を装う手口だけの件数ではない。
03お金をかけずに今日からできること
訪問者にはその場で決めない、家に入れない、と家族でルールを決めておきます。
インターホン越しに対応する
知らない訪問者には、ドアを開けずにインターホンで用件を聞きます。
所要 習慣
「家族に相談してから」と答える
点検や工事をすすめられても、その場では契約せず、家族に相談すると伝えます。
所要 5秒
名乗った会社に自分で確かめる
電力会社などを名乗られたら、手元の請求書や公式サイトの番号にかけて、本当に訪問があるか確かめます。
所要 5分
04習慣にするコツ
断り方の言葉を、あらかじめ決めておくことです。決まった言葉があれば、相手に押されても迷わずに済みます。
- 離れて住む親には、電話のたびに「誰か家に来た?」と聞いてみる。
- 契約してしまっても、訪問販売ならクーリング・オフができる場合がある。消費者ホットライン(188)に相談する。
- 強引に家に入ろうとされたら110番する。
05よくある質問
「点検に来ました」という訪問は信じていいですか
まずは名乗った会社に自分で電話して確かめましょう。国民生活センターは、法定点検の後に調査員が交換工事の契約を持ちかけることはないとしています。
点検商法の被害はどれくらいありますか
分電盤の点検商法の相談は2025年度に6,545件で、前年度の約5倍でした。8割超が70歳以上でした。
契約してしまったらどうすればいいですか
訪問販売ならクーリング・オフができる場合があります。消費者ホットライン(188)に相談してください。
出典
- 国民生活センター. 「分電盤の点検商法にご注意ください-相談が各地に広がり増加しています-」(2026年9月16日). https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_2.html
- 国民生活センター. 「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日). https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20260805_1.pdf
- 警察庁. 「令和7年の犯罪情勢」(2026年2月). https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation/r7_hanzaijyosei_kakuteichi.pdf