AI時代の防犯

趣味や日常のSNS投稿、積み重なるとなぜ危ない?研究でわかった「特定」されやすい開示と、今日からできること

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スマートフォンの画面を操作する手
Photo: Océanos y dados / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

旅行先の景色、育てているペット、週末のキャンプ。何気ない投稿の1枚だけなら、気にする人は多くありません。ですが積み重なると、「いつ」「どこに」「どんな習慣で」過ごしているかが、見ている人に伝わってしまうことがあります。SNSでの自己開示を調べた研究から、どんな投稿が被害につながりやすいのか、何に気をつければいいのかを見ていきます。

3行でわかる

  1. マレーシアの中学生1,364人を調べた研究では、露骨な写真や動画を投稿していた生徒は、頻繁なネットの被害に遭うオッズが約3.0〜3.5倍高かった(2017年)。
  2. 自己開示の多さが被害につながる経路の一部になっていることは、別の調査(中国の大学生845人、2023年)でも確認された。ただしこの経路は女性でだけ統計的に有意だった。
  3. 対策はお金をかけずにできる。投稿前に「場所・時間・習慣」が伝わっていないか確認し、公開範囲とフォロワーを定期的に見直すだけで、開示の積み重ねを減らせる。

01 犯罪者側から見ると知らない人はSNSの何を見ている?

個々の投稿そのものより、積み重なった情報です。場所・時間帯・持ち物・交友関係が繰り返し現れるほど、生活のパターンが読み取られやすくなります。

自己開示の意思決定を研究しているドイツの研究グループは、SNSでは情報への「アクセスと集積」が容易なため、1つ1つは何気ない投稿でも、積み重なると意図しない使われ方につながりうると指摘しています。1枚の写真や1件の投稿だけでは個人を特定できなくても、同じ場所・同じ時間帯の投稿が繰り返されれば、行動パターンが見えてきます。

同じ研究グループは、投稿のたびに「この情報を出すとどうなるか」を長期的に考えるより、「いいね」など目先の反応を優先しやすいという意思決定の傾向も報告しています。これは意志が弱いからではなく、多くの人に見られる判断のクセです。だからこそ、投稿する側が気をつけるポイントをあらかじめ決めておくことが役に立ちます。

また、研究が注目しているのは投稿の「量」よりも「種類」です。本名や学校、よく行く場所、顔や外見がはっきり分かる写真など、個人を特定しやすい情報を含む投稿は、そうでない投稿より影響が大きいとされています。趣味やペットの写真も、背景に場所や習慣が繰り返し写り込みやすいという点で、同じ注意が必要です。

02 研究と統計でわかっていること投稿の種類で被害のリスクは変わる?

変わります。露骨な写真や動画の投稿は、ほかの開示より明確に被害のリスクを高めていました。自己開示の多さ自体も、別の被害につながる経路の一部でした。

3.0〜3.5倍露骨な写真・動画を投稿していた生徒が「頻繁なネットの被害」に遭うオッズ(マレーシアの中学生1,364人、2017年)
845人自己開示といじめ被害の関係を調べた、中国の大学生を対象にした調査の人数(2023年)
女性でのみ有意自己開示を通じたいじめ被害の増加が確認されたのは女性の学生だけだった(2023年、男性では確認されず)

Marret・Choo(2017)[1]

マレーシアの中学生を対象にした調査で、SNSに露骨な写真や動画を投稿していた生徒は、頻繁なネットの被害に遭うオッズが、人口統計の特徴で調整しても3.0倍、SNSの利用の特徴で調整しても3.5倍でした。個人情報を公開のプロフィールに載せる、見知らぬ人とやり取りするなど、ほかの開示行動では、はっきりした関連は見られませんでした。

対象: マレーシア・Negeri Sembilan州の公立中等学校に通う中学生1,364人(SNS利用者) / 限界: 横断調査のため、投稿と被害のどちらが先に起きたかは分かりません。

Ostendorf・Müller・Brand(2020)[2]

ドイツの実験参加者88人を対象にした研究では、目先の満足を優先し長期的なリスクを軽視する意思決定の傾向が強い人ほど、SNSでの自己開示量が多いことが確認されました。論文は、自己開示が積み重なった末の長期的なリスクの例として、アイデンティティの盗用や性的な嫌がらせ、ストーカー被害を挙げています。

対象: ドイツの大学生を中心とした参加者88人(16〜56歳) / 限界: 実際の被害を測定したものではなく、意思決定の傾向と開示量との関連を調べた研究です。

Ostendorf・Brand(2022)[3]

自己開示の意思決定を整理した理論論文では、SNSでは情報へのアクセスと集積が容易なため、1つ1つは何気ない投稿でも積み重なると、本人が意図しない使われ方につながりうると指摘しています。

対象: これまでの研究を整理した理論モデル(実証データなし) / 限界: モデルの提案であり、集積のリスクそのものを数値で測ったものではありません。

Yang・Huang・Li(2023)[4]

中国の大学生845人を対象にした調査では、SNSでの自己開示の多さが、「愛着不安」(人間関係で見捨てられることを強く心配する傾向)といじめ被害を結ぶ経路の一部になっていました。この経路が統計的に確認されたのは女性の学生だけで、男性では確認されませんでした。

対象: 中国の大学生845人(平均18.7歳) / 限界: 中国の大学生という特定の集団の結果で、ほかの年齢層や国に当てはまるとは限りません。

03 お金をかけずに今日からできることプロフィール設定で今日できることは?

公開範囲とフォロワーを見直し、場所や習慣が繰り返し伝わる投稿を減らすことです。どれもお金をかけずに、今日からできます。

1

投稿前に「場所・時間・習慣」が伝わっていないか確認する

看板・建物・駅名など場所が分かる背景、撮った日時、いつもの行動パターンが写っていないか、投稿する前にもう一度見ます。気になる部分は、トリミングするか、投稿前に軽く加工します。

所要 30秒

2

公開範囲を見直す

アカウントの公開範囲を「友達のみ」などに設定し直し、プロフィールに本名・学校・よく行く場所を書かないようにします。

所要 3分

3

フォロワー・フォロー申請を定期的に見直す

知らない人からのフォローや友達申請を、月に1回など決めたタイミングでまとめて確認し、心当たりのない相手は削除・拒否します。

所要 5分

4

その場での投稿を避け、時間や場所をずらす

同じ場所・同じ時間帯に繰り返し投稿すると、生活パターンが伝わりやすくなります。その場で投稿せず、その場所を離れたあとに投稿するだけでも、今どこにいるかが伝わる範囲を減らせます。

所要 0分

04 習慣にするコツ見直しをどう続ける?

月1回など、タイミングを決めて棚卸しをすることです。「投稿前に一度見直す」「月初にフォロワーを確認する」のように、行動と時間を結びつけておくと続けやすくなります。

SNSの写真の景色から自宅の場所が推定される仕組みは「SNSの写真1枚から家がわかる」、名前の検索から分かってしまう個人情報は「名前の検索で分かる個人情報」で詳しく紹介しています。住まい・帰り道・SNSで当てはまる隙は、一人暮らしの防犯チェックでまとめて確かめられます。

知らない人からの接触が続く、投稿を元に待ち伏せされるなど、身の危険を感じたら110番です。緊急でなければ、警察相談専用電話 #9110 に相談できます。

05よくある質問

鍵アカウント(非公開)にすれば安心ですか?

公開範囲を絞る分、リスクは下がりますが、フォロワーの中に知らない人が混ざっていれば効果は限られます。フォロワー・フォロー申請を定期的に見直すことも合わせて行う必要があります。

趣味やペットの写真は投稿しない方がいいですか?

やめる必要はありません。研究で問題とされているのは、場所や外見がはっきり分かる投稿を繰り返すことです。背景をトリミングする、投稿のタイミングをずらすなど、投稿の仕方を変えるだけでリスクを減らせます。

子どものSNSも同じように注意すればいいですか?

基本は同じですが、子どもは開示の判断力が未熟なため、保護者が一緒に公開範囲や投稿内容を確認する必要があります。

出典

  1. Marret, M. J., & Choo, W. Y. (2017). Factors associated with online victimisation among Malaysian adolescents who use social networking sites: a cross-sectional study. BMJ Open, 7(6), e014959. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5734467
  2. Ostendorf, S., Müller, S. M., & Brand, M. (2020). Neglecting Long-Term Risks: Self-Disclosure on Social Media and Its Relation to Individual Decision-Making Tendencies and Problematic Social-Networks-Use. Frontiers in Psychology, 11. https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2020.543388/full
  3. Ostendorf, S., & Brand, M. (2022). Theoretical Conceptualization of Online Privacy-Related Decision-Making – Introducing the Tripartite Self-Disclosure Decision Model. Frontiers in Psychology, 13. https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2022.996512/full
  4. Yang, X., Huang, Y., & Li, B. (2023). Attachment anxiety and cyberbullying victimization in college students: the mediating role of social media self-disclosure and the moderating role of gender. Frontiers in Psychology, 14. https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2023.1274517/full