防犯の心理学

治安は悪くなった? 体感治安と統計のずれ、不安を減らす方法

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This photo depicts a lively beach scene with a group of people walking down a sidewalk near the ocean. There are several individuals in the
Photo: PattayaPatrol / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

「治安が悪くなった」という感覚と、実際の統計にはずれがあります。日本の刑法犯は平成14年の約285万件から大きく減りましたが、平成29年の世論調査でも60.8%が「ここ10年で治安は悪くなった」と答えていました。不安を正しい大きさに戻し、対策を絞ることが大切です。

3行でわかる

  1. 刑法犯の認知件数は平成14年の約285万件がピークで、令和7年は77万4,142件でした。
  2. それでも平成29年の調査では60.8%が「この10年で治安が悪くなった」と感じていました。
  3. 空き地の整備で住民の外出時の不安が57.8%減ったように、身近な環境を整えることは不安も減らします。

01犯罪者側から見ると何が起きているか

犯罪者が狙うのは、不安を感じている人ではなく、対策をしていない家や場所です。漠然と怖がるより、狙われる条件を一つずつ減らす方が身を守れます。

これまでの記事で見てきたように、犯罪者が見ているのは具体的な条件です。

不安が大きすぎると、外出を控えるなど生活が狭くなります。一方で「自分は大丈夫」と油断すると、鍵のかけ忘れのような基本がおろそかになります。どちらも、正しい情報で調整できます。

02研究と統計でわかっていること

犯罪は長く減ってきたのに、悪くなったと感じる人は多いままでした。不安は実際の件数だけでなく、身近な環境の様子にも左右されます。

約285万件刑法犯認知件数のピーク(平成14年)
77万4,142件令和7年の刑法犯認知件数(4年連続で増加)
60.8%「ここ10年で治安が悪くなった」と答えた人(平成29年)
80.2%「現在の日本の治安は良い」と答えた人(同)

警察庁「住まいる防犯110番」/「平成30年版 警察白書」[1][2]

刑法犯認知件数は平成14年に約285万件に達した後、令和3年まで減り続けました。令和7年は77万4,142件で、戦後最少だった令和3年から4年連続の増加です。体感治安の調査(平成29年)では、今の治安を良いと答えた人が80.2%に増えた一方、この10年で悪くなったと答えた人も60.8%いました。

対象: 全国の認知件数と世論調査 / 限界: 届け出のない犯罪は件数に含まれません。

Branasら(2018, PNAS)[3]

米国フィラデルフィアで空き地を整備したランダム化実験では、近くの住民の「外出時の安全への不安」が57.8%減り、外で休んだり人と話したりする利用が75.7%増えました。

対象: 541か所の空き地と住民445人 / 限界: 米国の都市の空き地での結果です。

Cozensら(2005)/Hale(1996)[4][5]

環境設計による防犯(CPTED)のレビューは、環境を整えることが犯罪と犯罪への不安の両方を減らすことを支持する研究が増えていると述べています。犯罪不安の研究を整理したHaleのレビューは、不安の測り方や説明の仕方が多様であることを指摘しています。

対象: 既存研究のレビュー / 限界: 不安の測り方によって結果が変わることがあります。

03お金をかけずに今日からできること

不安を「具体的な対策のリスト」に変えることです。やることが決まると、漠然とした怖さは小さくなります。

1

不安なことを3つ書き出す

「夜の帰り道」「留守中の家」など、具体的な場面にします。

所要 5分

2

それぞれに1つずつ対策を決める

帰り道は明るい道を選ぶ、家は窓まで施錠する、など今日できることにします。

所要 5分

3

ニュースより地元の統計を見る

都道府県警察のサイトでは、地域の犯罪の発生状況を公開していることがあります。実際に多い犯罪に対策を絞れます。

所要 10分

4

身近な場所の手入れに参加する

環境が整うと、犯罪だけでなく不安も小さくなることが研究で示されています。

所要 1時間

04習慣にするコツ

不安を感じたら「何が起きそうか」「何をすればいいか」の2つに分けて考えることです。考え方の習慣が、行動の習慣につながります。

「最近は物騒になった」と感じる人は少なくありません。統計を知ると、怖がる場面と備える場面を分けられます。具体的な対策は「空き巣はなぜ減ったのか」でも紹介しています。

05よくある質問

日本の治安は悪くなっているのですか?

長い目で見ると良くなってきました。刑法犯認知件数は平成14年の約285万件がピークで、令和3年まで減り続けました。ただし令和7年は77万4,142件で、4年連続の増加です。

なぜ治安が悪くなったと感じるのですか?

平成29年の調査でも60.8%が「この10年で悪くなった」と答えていました。不安は件数だけでなく、身近な環境の様子などにも左右されると考えられています。

犯罪への不安を減らす方法は?

不安を具体的な場面に分け、それぞれに対策を決めることです。米国の実験では、空き地の整備で住民の外出時の不安が57.8%減りました。

地域の犯罪の状況はどこで分かりますか?

都道府県警察のサイトでは、地域の犯罪の発生状況や注意情報を公開していることがあります。全国の住宅侵入の統計は警察庁の「住まいる防犯110番」で見られます。

出典

  1. 警察庁「住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威」(令和7年のデータ). https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
  2. 警察庁「平成30年版 警察白書 特集 近年における犯罪情勢の推移と今後の展望」. https://www.npa.go.jp/hakusyo/h30/honbun/html/uf131000.html
  3. Branas, C. C., et al. (2018). Citywide cluster randomized trial to restore blighted vacant land and its effects on violence, crime, and fear. PNAS, 115, 2946-2951. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5866574/
  4. Cozens, P. M., Saville, G., & Hillier, D. (2005). Crime prevention through environmental design (CPTED): A review and modern bibliography. Property Management, 23(5), 328-356. https://doi.org/10.1108/02637470510631483
  5. Hale, C. (1996). Fear of crime: A review of the literature. International Review of Victimology, 4(2), 79-150. https://doi.org/10.1177/026975809600400201