空き地を片づけると犯罪は減るのか。空き家900万戸の日本で知りたい研究

日本の空き家は、2023年に900万2千戸と過去最多になりました。住宅の13.8%が空き家です。荒れたまま放置された空き家や空き地は、地域の安全にどう影響するのでしょうか。米国の大規模な実験は、荒れた空き地を片づけるだけで、犯罪と住民の不安が減ることを示しています。
3行でわかる
- 日本の空き家は2023年に900万2千戸、空き家率13.8%で、どちらも過去最高。賃貸・売却用などを除く空き家は385万6千戸に増えた。
- 米国フィラデルフィアで541の空き地を無作為に分けた実験では、片づけた空き地の周りの貧困地域で、銃犯罪が29.1%、侵入盗が21.9%減った。
- 住民の「犯罪が多い」という感じ方も36.8%減り、外に出るときの不安は57.8%減った。
01犯罪者側から見ると何が起きているか
犯罪をする側は、手入れされていない場所を「誰も気にしていない場所」と受け取ります。荒れた空き地は、隠れたり物を隠したりしやすい場所にもなります。
荒れた空き地には、伸び放題の草やごみがあり、物を隠したり、人目を避けて行動したりしやすくなります。
逆に、手入れされた場所は「誰かが見ている、気にかけている」というサインになります。これは、小さな乱れが犯罪を呼ぶとする考え方とも重なります。
02研究と統計でわかっていること
空き地を片づける実験で、犯罪と住民の不安がともに減りました。日本では空き家が増え続けています。
Branasら(2018)[1]
米国フィラデルフィアで、541の空き地を無作為に「片づける」「何もしない」に分け、その後の変化を比べた。片づけた空き地の近くの住民は、犯罪が多いという感じ方が36.8%、破壊行為の感じ方が39.3%、外出するときの不安が57.8%減った。貧困地域では、犯罪全体が13.3%、銃犯罪が29.1%、侵入盗が21.9%減った。
対象: 541の空き地とその周辺の住民 / 限界: 米国の都市での研究で、日本の住宅地とは環境が異なる。
Garvinら(2013)[2]
空き地を清掃し、草や木を植え、柵を設けた。統計的にはっきりした差ではなかったものの、片づけた空き地の周りでは犯罪や銃による暴力が減る傾向があった。住民は、片づけた後に安全だと感じるようになった。
対象: 空き地のグループと住民への聞き取り / 限界: 小規模な実験。
総務省統計局(2023年)[3]
2023年の空き家は900万2千戸で、2018年から51万3千戸増えて過去最多。空き家率は13.8%で過去最高となった。賃貸・売却用や別荘などを除く空き家は385万6千戸で、2018年から36万9千戸増えた。空き家の数は1993年から30年間で約2倍になった。
対象: 全国の住宅の調査 / 限界: 空き家の管理状態までは示していない。
03お金をかけずに今日からできること
自分の家と近所の空き家・空き地の「手入れされている感じ」を保ちます。費用はほとんどかかりません。
実家や自分の空き家を見回る
離れて住む実家などの空き家があれば、定期的に見回り、郵便物をためず、草やごみを片づけます。
所要 月1回
近所の荒れた場所を自治体に伝える
近所に荒れた空き家や空き地があれば、自治体の空き家の相談窓口に伝えます。
所要 10分
地域の清掃に参加する
地域の清掃活動に参加し、空き地や公園の手入れを手伝います。
所要 1〜2時間
04習慣にするコツ
一度きれいにするより、手入れが続いていることが伝わる状態を保つことです。少しずつでも続けることが大切です。
- 空き家の郵便受けにチラシがたまっていると、留守が分かりやすくなる。
- 親族と、実家の見回りの順番を決めておく。
- 空き家に不審な出入りがあれば、警察に通報する。
05よくある質問
空き地を片づけると犯罪は減りますか
米国の大規模な実験では、片づけた空き地の周りの貧困地域で、銃犯罪が29.1%、侵入盗が21.9%減りました。
日本の空き家はどれくらいありますか
総務省統計局によると、2023年の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、どちらも過去最高でした。
空き家を持っている人ができることは何ですか
定期的に見回り、郵便物をためず、草やごみを片づけて、手入れされている状態を保つことです。
出典
- Branas, C. C., South, E., Kondo, M. C., et al. (2018). Citywide cluster randomized trial to restore blighted vacant land and its effects on violence, crime, and fear. PNAS, 115, 2946-2951. https://doi.org/10.1073/pnas.1718503115
- Garvin, E. C., Cannuscio, C. C., & Branas, C. C. (2013). Greening vacant lots to reduce violent crime: a randomised controlled trial. Injury Prevention, 19(3), 198-203. https://doi.org/10.1136/injuryprev-2012-040439
- 総務省統計局. 「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月25日). https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf