AI時代の防犯

本物そっくりの動画を、人は見抜けない。ディープフェイクと「見たから信じる」の落とし穴

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Markus Spiske 2017-02-14
Photo: Markus Spiske markusspiske / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

有名人が投資をすすめる動画、上司がビデオ通話で送金を指示する映像。AIで作られた「本人そっくり」の動画や顔は、もう珍しくありません。研究では、人はディープフェイクを確実には見抜けないのに、自分は見抜けると思い込んでいることがわかっています。

3行でわかる

  1. 210人の実験で、人はディープフェイク動画を確実には見抜けず、注意を促しても、報酬を出しても成績は上がらなかった。
  2. 人は偽物を本物だと思い込みやすく、さらに自分の見抜く力を実際より高く見積もっていた。
  3. AIで作った顔は本物の顔と見分けがつかず、本物より信頼できると評価された。動画や写真は「本人の証拠」にしないことが大切。

01犯罪者側から見ると何が起きているか

だます側は「映像があるから本物だ」という思い込みを利用します。動画や写真は、信じてもらうための道具になります。

ディープフェイクとは、AIを使って人の顔や声を別の映像に合成し、本物のように見せる技術です。

警察庁の統計では、2025年のSNS型投資詐欺で最初の接触のきっかけになったツールのうち、YouTubeの広告などが大きく増えました。有名人の名前や姿を使った広告や動画は、信用させるための入口になりやすいと考えられます。

02研究と統計でわかっていること

人は偽物の動画を確実には見抜けず、しかも見抜けると思い込んでいます。AIの顔は、本物より信頼されることさえあります。

210人ディープフェイクの見分けを調べた実験の参加者(2021年)
上がらず注意を促す・報酬を出したときの見分ける力(2021年の実験)
1,024件SNS型投資詐欺のうちYouTube広告がきっかけの件数(2025年、警察庁)

Köbisら(2021)[1]

事前に計画を登録した実験で、210人に本物とディープフェイクの動画を見分けてもらった。人は偽物を確実には見抜けず、注意を促しても、正解に報酬を出しても成績は上がらなかった。人は偽物を本物だと思い込みやすく、自分の見抜く力を実際より高く見積もっていた。

対象: 210人 / 限界: 実験用の動画で、実際にSNSで見る状況とは異なる。

NightingaleとFarid(2022)[2]

AIで作った顔の写真のリアルさを調べた。AIで作った顔は本物の顔と見分けがつかず、本物の顔より信頼できると評価された。

対象: 顔の写真を評価した参加者 / 限界: 写真の評価で、動画や会話の場面とは異なる。

警察庁(2025年の統計)[3]

2025年のSNS型投資詐欺は9,523件、被害額は1,288.0億円。最初の接触手段は広告とダイレクトメッセージで約8割を占め、広告ではYouTubeが1,024件と前の年から大きく増えた。

対象: 全国の警察が把握した件数 / 限界: 広告にディープフェイクが使われたかどうかは統計からはわからない。

03お金をかけずに今日からできること

「本物に見えるか」を確かめようとしないことです。お金や個人情報が関わるときは、別の方法で本人や公式に確かめます。

1

動画や写真を「本人の証拠」にしない

有名人や知人の映像でお金や投資をすすめられても、映像があることを理由に信じないと決めておきます。

所要 0分(考え方だけ)

2

公式の窓口から確かめる

有名人の投資話なら本人や事務所の公式サイト、会社の送金指示なら社内の決まった連絡先に、自分から確かめます。

所要 5分

3

送金の前に、誰かに話す

お金を送る前に家族や同僚に一言話します。迷ったら警察相談専用電話(#9110)に相談します。

所要 数分

04習慣にするコツ

自分は見抜けるという自信こそが、だまされる入口になります。「見抜く」より「確かめる」を習慣にします。

05よくある質問

ディープフェイクは見抜けますか

研究では、人はディープフェイク動画を確実には見抜けず、注意を促しても上達しませんでした。見抜こうとするより、別の方法で確かめることが大切です。

有名人が投資をすすめる動画は信じていいですか

映像があることだけを理由に信じないことです。本人や事務所の公式サイトなど、自分で探した窓口で確かめます。

なぜ人は偽物の動画にだまされるのですか

研究では、人は偽物を本物だと思い込みやすく、自分の見抜く力を実際より高く見積もっていました。「見たから信じる」が落とし穴になります。

出典

  1. Köbis, N. C., Doležalová, B., & Soraperra, I. (2021). Fooled twice: People cannot detect deepfakes but think they can. iScience, 24, 103364. https://doi.org/10.1016/j.isci.2021.103364
  2. Nightingale, S. J., & Farid, H. (2022). AI-synthesized faces are indistinguishable from real faces and more trustworthy. PNAS, 119, e2120481119. https://doi.org/10.1073/pnas.2120481119
  3. 警察庁. 「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日). https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2025.pdf