防犯の心理学

近所づきあいは防犯になるのか。「集合的効力感」の研究

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Residential houses with taped windows affected by typhoon Hagibis, photoed in Shimo-Igusa, Suginami, Tokyo, Japan.
Photo: Theodore Xu / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

近所づきあいは防犯になります。侵入者は「近所の目」を嫌い、犯行をあきらめた理由で多いのは「近所の人に声をかけられた、じろじろ見られた」ことです。シカゴの大規模な研究でも、住民同士のつながりが強い地域ほど暴力犯罪が少ないことが示されています。

3行でわかる

  1. 警察庁によると、侵入者は近所づきあいが良く、連帯感のある住宅街を嫌います。
  2. シカゴの343地域・8,782人の調査で、住民のつながりと「いざとなれば動く」気持ち(集合的効力感)が強い地域ほど暴力が少なくなっていました。
  3. 近所の見守り活動をまとめたレビューでも、犯罪の減少と結びついていました。

01犯罪者側から見ると何が起きているか

犯罪者がいちばん避けたいのは、顔を見られ、覚えられることです。あいさつや声かけが多い地域は、それだけで「見られている場所」になります。

警察庁は、侵入者が犯行をあきらめた理由で多いのは「近所の人に声をかけられたり、じろじろ見られた」ことだと紹介しています。下見の段階でも、次のような点を見ているとされます。

つまり、近所の人同士の何気ないやりとりが、犯罪者にとっての「入りにくさ」になっています。

02研究と統計でわかっていること

住民のつながりは、個人の特徴や過去の暴力を考慮しても、地域の暴力の少なさと結びついていました。見守り活動にも効果が確認されています。

8,782人シカゴ343地域で集合的効力感を調べた調査の回答者数(1995年)
18件近所の見守り活動の効果をまとめたメタ分析の評価数

Sampsonら(1997, Science)[2]

シカゴの343地域に住む8,782人を調べました。住民同士のつながりと、地域のために行動しようとする気持ちを合わせた「集合的効力感」が強い地域ほど、暴力が少なくなっていました。貧困や住民の入れ替わりと暴力の関係も、大部分がこの集合的効力感を通して説明されました。

対象: 1995年のシカゴの住民調査 / 限界: 暴力犯罪を中心に見た研究で、米国の都市でのデータです。

Bennettら(2008, キャンベル共同計画の系統的レビュー)[3]

近所の見守り活動(ネイバーフッド・ウォッチ)の評価を集め、19研究・43評価を整理し、12研究・18評価をメタ分析しました。結論は、見守り活動は犯罪の減少と結びついている、というものでした。

対象: 警察の記録と住民の被害申告 / 限界: 見守り活動の中身は地域ごとに異なり、どの要素が効いたかまでは分かりません。

03お金をかけずに今日からできること

特別な活動をしなくても、あいさつと「見かけない人への声かけ」から始められます。目的は、地域を「見られている場所」にすることです。

1

近所の人にあいさつする

顔見知りが増えるほど、見慣れない人に気づきやすくなります。

所要 毎日数秒

2

見かけない人には「こんにちは」と声をかける

警察庁は、不審な人にはまず「何かご用ですか」などと声をかけるよう勧めています。身の危険を感じる相手には近づかず、110番します。

所要 数秒

3

長く留守にするときは、隣の人に伝える

郵便物や見慣れない車に気づいてもらえます。お互いさまで引き受けます。

所要 1分

4

地域の清掃や行事に一度出てみる

顔を合わせる機会が、つながりの土台になります。

所要 1時間

04習慣にするコツ

防犯のためと構えず、あいさつを生活の一部にすることです。つながりは少しずつ積み重なります。

「近所づきあいは面倒」と感じる人は少なくありません。深い付き合いでなくても、あいさつ程度のつながりが地域の目になります。地域の手入れの効果は「割れ窓理論は本当か」で紹介しています。

05よくある質問

近所づきあいは本当に防犯になりますか?

なります。警察庁によると、侵入者が犯行をあきらめた理由で多いのは近所の人に声をかけられたことです。シカゴの研究でも、住民のつながりが強い地域ほど暴力が少なくなっていました。

集合的効力感とは何ですか?

住民同士の信頼やつながりと、地域のために必要なら行動しようとする気持ちを合わせた考え方です。Sampsonらは1997年の研究でこの考え方を使い、地域の犯罪の少なさと結びつくことを示しました。

近所の見守り活動に効果はありますか?

キャンベル共同計画の系統的レビューでは、近所の見守り活動は犯罪の減少と結びついていると結論づけています。

知らない人に声をかけるのは怖いです。

無理はしなくて大丈夫です。あいさつだけでも「見られている」というサインになります。危険を感じる相手には近づかず、110番か、緊急でなければ#9110に相談しましょう。

出典

  1. 警察庁「住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング(心理と行動)」. https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_e_3.html
  2. Sampson, R. J., Raudenbush, S. W., & Earls, F. (1997). Neighborhoods and violent crime: A multilevel study of collective efficacy. Science, 277(5328), 918-924. https://doi.org/10.1126/science.277.5328.918
  3. Bennett, T., Holloway, K., & Farrington, D. P. (2008). The effectiveness of neighborhood watch. Campbell Systematic Reviews, 4(1). https://doi.org/10.4073/csr.2008.18