AI時代の防犯

スマホのアプリの権限、どこまで許可している?位置情報・マイク・写真を見直す研究

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-12)

スマホ用カメラレンズの接写
Photo: Burkhard Mücke / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品・アプリの紹介はしていません。出典は末尾)。

アプリの権限(位置情報・マイク・カメラ・写真・連絡先などへのアクセス許可)は、入れたときに一度許可したら終わりではなく、年に数回見直すのが安全です。研究では、権限の画面をきちんと見る人は2割に満たず、多くのアクセスは画面を見ていない間に起きていました。気づかないのはあなたの不注意ではなく、仕組みの問題です。

3行でわかる

  1. 悪意のある人にとって、位置情報・マイク・写真の権限は「見張る」「のぞく」ための入り口になる。
  2. 権限の画面をインストール時に見た人は17%、権限の意味を問う3問すべてに正解できた人は3%だった(2012年発表の研究)。
  3. 今日やるのは、位置情報・マイク・カメラの許可アプリを機能ごとに見て、用途に合わないものを外すこと。15分ほどで終わる。

01 犯罪者側から見ると悪用する側にとって、アプリの権限は何に使える?

悪用する側にとって権限は、本人に気づかれずに居場所・会話・写真・やりとりを見るための通り道です。権限そのものが悪いのではなく、誰が・どのアプリで使うかで意味が変わります。

アプリの権限は、本来は便利に使うためのものです。地図アプリが現在地を使い、メールアプリが連絡先から宛先を探すのは自然なことです[3]。

問題になるのは、用途に合わない権限を持ったアプリと、本人に知らせずに入れられた見張りのためのアプリです。米国の連邦取引委員会(FTC)は、こうしたアプリ(ストーカーウェア)を「本人が知らないうちに端末に入れられるアプリ」と説明しています[5]。

FTCによると、ストーカーウェアで相手に知られてしまうおそれがあるのは次のような情報です[5]。

権限・情報悪用されたときに起きること
位置情報居場所を追いかけられる
マイク通話を録音される
メッセージ・メールやりとりを読まれる
写真・動画保存した写真や動画を見られる
ネットの利用どのサイトを見ているか知られる

情報処理推進機構(IPA)が2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の個人編には、「不正アプリによるスマートフォン利用者への被害」が入っています。2016年から11年連続の選出です[4]。IPAは別の解説で、写真加工アプリに「SMSの送信」が許可されている例を挙げ、用途から説明できない権限は外すか、アプリを消すことを検討するよう勧めています[3]。

02 研究と統計でわかっていること人は権限の画面をどれくらい理解している?

多くの人は十分に理解できていませんでした。2012年の研究では、インストール時に権限を見た人は17%で、理解度を問う3問すべてに正解できた人は3%でした。

17%インストール時に権限の画面を見ていた人(2012年発表)
3%権限の意味を問う3問すべてに正解した人(同じ研究)
60%権限を使ったアクセスのうち、画面が消えている間に起きた割合(2015年発表)
80%以上少なくとも1つのアクセスを止めたかったと答えた参加者(同じ研究)

Feltら(2012)[1]

インターネット調査と対面の実験の両方で、インストール時に権限を見ていた人は17%でした。対面の実験では42%が、権限の画面があること自体を知りませんでした。インターネット調査で、権限の意味を問う3問すべてに正解できたのは3%でした。

対象: Android利用者308人のインターネット調査と、25人の対面実験 / 限界: 発表当時の「インストール時にまとめて許可する」方式での調査で、使う場面ごとに許可を求める今の方式とは異なります。

Wijesekeraら(2015)[2]

参加者のスマホで1週間、アプリが権限を使った記録をとると、約2,700万回にのぼりました。そのうち60%は画面が消えている間で、本人がそのアプリを使っている最中だったのは約12%でした。参加者の80%以上が少なくとも1回はアクセスを止めたかったと答え、聞き取りで示されたアクセスのうち、3分の1を超えるものを止めたいと答えました。

対象: 改造したスマホを1週間ふだん使いした36人と、終了後の聞き取り / 限界: 人数が少なく、2015年当時のスマホの仕組みでの記録です。今のスマホでは結果が異なる可能性があります。

2つの研究からわかるのは、「許可するときに注意深く読む」だけでは守りきれないことです。許可した後に、どのアプリが何を使っているかを見直す習慣も合わせて持つのが現実的です。

03 お金をかけずに今日からできることアプリの権限は、どう見直せばいい?

設定画面で、位置情報・マイク・カメラの順に「許可しているアプリ」を一覧で見て、用途に合わないものを外してください。どれも無料で、15分ほどで終わります。

1

位置情報を許可しているアプリを一覧で見る

設定のプライバシー(権限)の画面から「位置情報」を開き、許可しているアプリを確認します。地図や天気など、使う理由がはっきりしたアプリ以外は外します。「使用中のみ」を選べる場合は、常に許可より使用中のみにします。

所要 5分

2

マイク・カメラ・写真の許可を、アプリの用途と照らし合わせる

IPAは、権限ごとに許可しているアプリを確認し、用途から説明できないものは外すよう勧めています[3]。通話や撮影をしないアプリにマイク・カメラが許可されていないかを見ます。

所要 5分

3

使っていないアプリを消す

ホーム画面で、この数か月開いていないアプリを消します。使わないアプリが権限を持ったまま残っているのが、いちばん見落としやすい状態です。

所要 5分

4

新しいアプリは、まず許可せずに使ってみる

許可を求める画面が出たら一度止まり、「この機能に本当に必要か」を考えます。不安なときは許可しないで使ってみるのも、IPAが挙げている方法です[3]。

所要 習慣

アカウントの守り方も合わせて見直す場合は、専門家が自分のために優先する3つのセキュリティ対策から始めるのが近道です。点検の進み具合は、AI時代の防犯 セルフ点検で確かめられます。

04 習慣にするコツ権限の見直しは、どのくらいの頻度で必要?

年に数回、日を決めて見直すと続きます。加えて、人間関係や端末が変わったときは、その日のうちに見直してください。

交際相手や家族と共有していた機器やアカウントが、関係が終わった後も使われてしまう問題は、見守りカメラやGPSタグを悪用する「技術的虐待」の研究で詳しく扱っています。

日本のストーカー規制法は、2021年5月の改正でGPS機器等を使って相手の承諾なく位置情報を取得する行為を規制の対象にし、2025年12月の改正で紛失防止タグを使う場合も加えました[6]。説明のつかない形で居場所を知られている、怖いと感じるときは、警察相談専用電話 #9110 に相談してください。身の危険を感じたときは、迷わず 110番 です。

05よくある質問

アプリの権限を許可しないと、アプリは使えなくなる?

多くの場合、その権限を使う機能だけが使えなくなります。IPAは、不安なときはまず許可せずに使ってみること、許可しないと動かないアプリは本当にその権限が必要かを考え直すことを勧めています[3]。

知らないうちに位置情報を追跡されていないか、どう気づける?

FTCは、教えていないのに相手が居場所を知っている、ほかの人との会話の内容を知っている、電池の減りやデータ通信量が急に増えた、といったことを手がかりに挙げています[5]。消す前に相談先へ連絡することも勧めています。消したことに相手が気づき、行動がエスカレートするおそれがあるためです。不安なときは #9110、危険が迫っているときは110番に連絡してください。

公式のアプリストアから入れたアプリなら、権限は全部許可していい?

そうとは限りません。IPAは、アプリが実際にどの情報を取って外部に送っているかは、利用者からは確認できないと指摘しています[3]。入手先にかかわらず、用途に必要な権限だけを許可するのが基本です。

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出典

  1. Felt, A. P., Ha, E., Egelman, S., Haney, A., Chin, E., & Wagner, D. (2012). Android Permissions: User Attention, Comprehension, and Behavior. Proceedings of the Eighth Symposium on Usable Privacy and Security (SOUPS 2012). https://cups.cs.cmu.edu/soups/2012/proceedings/a3_Felt.pdf
  2. Wijesekera, P., Baokar, A., Hosseini, A., Egelman, S., Wagner, D., & Beznosov, K. (2015). Android Permissions Remystified: A Field Study on Contextual Integrity. Proceedings of the 24th USENIX Security Symposium. https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity15/technical-sessions/presentation/wijesekera
  3. 情報処理推進機構(IPA)(2021). アプリのアクセス権限を確認しましょう. https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2021/mgdayori20210914.html
  4. 情報処理推進機構(IPA)(2026). 情報セキュリティ10大脅威 2026. https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
  5. Federal Trade Commission (FTC). Stalkerware: What To Know. https://consumer.ftc.gov/articles/stalkerware-what-know
  6. 警察庁 ストーカー総合対策関係省庁会議 (2026). ストーカー総合対策(令和8年7月28日改訂)の概要. https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/260728_taisaku_gaiyou.pdf