「暗号資産で送って」は詐欺のサイン。2025年に急増した暗号資産送信型の被害と見分け方

「投資でもうかる」「手続きのために暗号資産で送って」。こうした指示は、いま詐欺の典型になっています。警察庁によると、2025年に暗号資産で送らせた特殊詐欺は1,243件、被害額は196.9億円。件数は前年の10倍を超えました。一度送ったお金を取り戻すのは、極めて難しいのが現実です。
3行でわかる
- 2025年の特殊詐欺のうち、暗号資産で送らせる「暗号資産送信型」は1,243件(前年比+927.3%)、被害額は196.9億円だった。
- ロマンス詐欺では、暗号資産で送らせたものが件数の40.4%、被害額の48.6%を占めた。
- 国民生活センターは、いったん送ってしまうと被害回復は極めて困難だとして、送る前の確認と相談を呼びかけている。
01犯罪者側から見ると何が起きているか
詐欺をする側が暗号資産を使わせるのは、送金がすぐに海外へ移り、追跡や取り戻しが難しくなるからです。被害者自身に口座を開かせ、自分の手で送らせます。
国民生活センターが紹介した事例では、SNSで知り合った相手とやり取りを続けた後、暗号資産の投資を勧められました。被害者は国内の取引所で自分名義の口座を開き、日本円を暗号資産に替えて、海外の取引所の指定口座に送りました。
出金しようとすると「認証金」などの名目で追加の支払いを求められ、いつまでもお金は戻りませんでした。送った額は総額で約500万円にのぼりました。
02研究と統計でわかっていること
2025年、暗号資産で送らせる詐欺は特殊詐欺・投資詐欺・ロマンス詐欺のすべてで大きく増えました。
警察庁(2025年の確定値)[1]
特殊詐欺の暗号資産送信型は1,243件(前年比+927.3%)、被害額196.9億円(同+479.4%)。SNS型投資詐欺では暗号資産送信型が1,898件・215.5億円で、暗号資産振込と合わせると件数の21.0%を占めた。ロマンス詐欺では2,177件・247.7億円で、件数の40.4%、被害額の48.6%が実質的に暗号資産によるものだった。
対象: 全国の警察が認知した被害 / 限界: 届け出られていない被害は含まれない。
国民生活センター(2025年)[2]
SNSで勧誘される詐欺的な暗号資産の投資話について注意を呼びかけた。暗号資産交換業を行う事業者は金融庁・財務局への登録が必要で、事前に金融庁のウェブサイトで登録の有無を確かめるよう求めている。いったん振り込むと被害回復は極めて困難だとしている。
対象: 消費生活センターに寄せられた相談事例 / 限界: 統計ではなく事例にもとづく注意喚起。
Cross(2023)[3]
オーストラリアの犯罪学者による論文。近年、恋愛を装う詐欺と投資詐欺が融合し、相手との関係を足がかりに偽の暗号資産投資へ誘う手口が「ピッグ・ブッチャリング(豚の屠殺)」などと呼ばれるようになったと論じている。
対象: 国際的な詐欺の手口の分析 / 限界: 論文の要旨にもとづく。
03お金をかけずに今日からできること
「暗号資産で送って」と言われた時点で手を止め、送る前に確認と相談をします。
「暗号資産で送って」で手を止める
投資の勧誘や手続きの名目でも、暗号資産での送金を求められたら、その場で送らないと決めておきます。
所要 0分
業者が登録済みか確かめる
暗号資産の業者は金融庁・財務局への登録が必要です。金融庁のウェブサイトで登録の有無を確かめます。
所要 10分
送る前に相談する
家族や、消費者ホットライン(188)、警察相談専用電話(#9110)に相談します。
所要 10分
04習慣にするコツ
お金の話が出たら、一度外の人に話すことを家族のルールにすることです。詐欺は「誰にも言わないで」と孤立させようとします。
- SNSで知り合ったばかりの相手からの投資の話は、すべて疑ってかかる。
- 「出金には手数料が必要」と追加の支払いを求められたら、詐欺のサインと考える。
- 被害に気づいたら、すぐに警察に相談する。
05よくある質問
なぜ詐欺は暗号資産で送らせるのですか
送金が海外へすぐに移り、追跡や取り戻しが難しくなるためです。国民生活センターも、一度送ると被害回復は極めて困難だとしています。
暗号資産を使った詐欺はどれくらい増えていますか
警察庁によると、2025年の特殊詐欺の暗号資産送信型は1,243件・196.9億円で、件数は前年の10倍以上でした。
業者が本物かどうかはどう確かめますか
暗号資産の業者は金融庁・財務局への登録が必要です。金融庁のウェブサイトで登録の有無を確かめてください。
出典
- 警察庁. 「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日). https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2025.pdf
- 国民生活センター. 見守り新鮮情報 第530号「SNSで勧誘される詐欺的な暗号資産の投資話 被害回復は困難です」(2025年12月11日). https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen530.html
- Cross, C. (2023). Romance baiting, cryptorom and 'pig butchering': an evolutionary step in romance fraud. Current Issues in Criminal Justice, 36(3), 334-346. https://doi.org/10.1080/10345329.2023.2248670