AI時代の防犯

使っていないアカウントの放置は危ない?休眠アカウントの棚卸しと退会のやり方

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-13)

使い込まれた古いパソコンの画面
Photo: Igor Ovsyannykov igorovsyannykov / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料をAIが調べて整理しました(セキュリティ商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

何年も前に登録したまま忘れているアカウントは、誰にでもあります。放置しても困らないように見えますが、そのサービスから情報が漏れたり、古いパスワードで入られたりしても、本人が気づきにくいのが問題です。年に数回、使っていないアカウントを洗い出し、いらないものは退会し、残すものは鍵をかけ直す。この「棚卸し」はお金をかけずにできます。

3行でわかる

  1. 放置されたアカウントは、持ち主が見ていないので、入られても気づかれにくい。攻撃する側にとって都合がいい入り口になる。
  2. 米国の研究では120人中110人が使っていないアカウントを持ち、その数を少なく見積もっていた。
  3. 受信箱と保存済みパスワードから洗い出し、いらないものは退会、残すものはパスワードと二段階認証を見直す。

01 犯罪者側から見ると放置アカウントは、なぜ狙う側に都合がいい?

放置されたアカウントは、持ち主がログインしていないため、入られても通知や異変に気づかれにくいからです。古いパスワードのまま、知人とのつながりも残っていることが多く、だましの連絡に使えます。

攻撃する側は、どこかで漏れたIDとパスワードの組み合わせを大量に持っています。それを別のサービスで次々に試します(仕組みはパスワードの使い回しは何が危ないのかで解説しています)。

ふだん使っているアカウントなら、見覚えのないログインにすぐ気づけます。ところが使っていないアカウントは、ログイン通知のメールが届いても読まれません。登録したメールアドレス自体を使わなくなっていることもあります。入られてから気づくまでの時間が長くなることが、放置アカウントのいちばんの弱さです。

昔のSNSには、友人や家族とのつながりが残っています。乗っ取ったアカウントから知人に「お金を立て替えて」「認証コードを教えて」と送れば、本人からの連絡に見えます。警察に認知された不正アクセスのうち、「知人になりすましての情報発信」は2025年に72件ありました[4]。

もう1つは、サービス側からの流出です。使っていないアカウントにも、名前・住所・電話番号・カード情報が残っていることがあります。研究者は、使われていないアカウントが個人情報を抱えたまま残り、流出のときにそれが漏れうる点を危険として挙げています[1]。

02 研究と統計でわかっていること使っていないアカウントは、どのくらいある?

2026年に発表された米国の研究では、120人中110人が使っていないアカウントを持っていました。参加者の多くはその数を実際より少なく見積もっていました。別の研究では、退会の入り口の見つけにくさが壁になっていました。

110人 / 120人使っていないアカウントが1つ以上あった人(2026年発表の米国の研究)
約53個1人あたりの使っていないアカウントの推計(同じ研究・少なめに見積もった下限)
1.5%漏れたIDとパスワードが使われていたログインの割合(2019年発表の研究)
7,190件警察が認知した不正アクセス(2025年、前年より約34%増)

Bumiller、Delgado Rodriguez、Mecke、Distler、Alt(2026)[1]

使っていないアカウントは、1人あたり約53個にのぼると推計されました。忘れているものは数えていないため、これは少なめの見積もりです。参加者は、自分は退会できると考える一方で、使っていないアカウントの数を少なく見積もっていました。

対象: オンライン調査に参加した米国の成人。1回目120人、2回目100人 / 限界: 本人の申告で、実際の行動や被害を測ったものではありません。53個は、忘れているアカウントを含まない少なめの推計です。

Liu、Jia、Tan、Liu、Xing(2022)[2]

スマホアプリ60個の退会手続きを調べ、2か国の647人に調査、20人に対面で聞き取りました。多くの人はアカウントを消したいと思っていましたが、退会を意識しないまま、使わないアカウントを残していました。退会の入り口が見つけにくく、手順が複雑なことが壁になっていました。

対象: オンライン調査647人と対面20人 / 限界: スマホアプリに絞った研究で、ウェブサービス全般には当てはまらない部分があります。

Thomasら(2019)[3]

約67万人・2,100万回のログインを匿名で調べると、1.5%は過去に漏れたIDとパスワードの組み合わせでした。漏れていると知らせた警告の26%で、利用者は元と同じか、より強いパスワードに変えていました。

対象: 漏えい確認の仕組みを入れたブラウザ拡張の利用者 / 限界: 自分から拡張を入れた人が対象で、一般の利用者全体と同じとは限りません。

国内でも、個人情報保護委員会が処理した民間事業者からの漏えい等の報告は、2025年度に17,139件でした(2024年度は19,056件)[5]。登録先が増えるほど、どこかで漏れたときに巻き込まれる先も増えます。

放置したときに起きやすいこと棚卸しで減らせること
登録先から住所やカード情報が漏れる退会するか、残す場合も登録情報を消す
古いパスワードで入られても気づかない残すものはパスワードを別々にして二段階認証
昔のSNSから知人に詐欺の連絡が届く使わないSNSは退会し、つながりを残さない

03 お金をかけずに今日からできること使っていないアカウントは、どう棚卸しする?

まず受信箱と保存済みパスワードから一覧を作り、使うもの・残すもの・消すものに分けます。いらないものは退会し、残すものはパスワードと二段階認証を見直します。どれも無料で、スマホだけでできます。

1

受信箱と保存済みパスワードから一覧を作る

メールを「登録完了」「ご登録ありがとう」「ようこそ」「会員登録」で検索します。スマホやブラウザに保存されたパスワードの一覧も見ます。思い出せた名前をメモに書き出すだけで十分です。

所要 15分

2

いらないものから退会する

先にカード情報と住所を消してから、設定画面の「アカウント」や「退会」を探します。見つからなければ、そのサービスのヘルプで「退会」を検索します。残したいデータは先に保存しておきます。

所要 1件数分

3

残すものは鍵をかけ直す

思い出の写真があるSNSなど、残したいアカウントは、ほかと違うパスワードに変えて二段階認証をオンにします。昔のメールアドレスで登録していたら、今使うアドレスに変えます。

所要 1件5分

4

「〇〇でログイン」の連携を見直す

メールやSNSの設定にある「連携しているアプリ」「ログインに使っているサービス」の一覧を開き、使っていないものの許可を外します。

所要 5分

退会できない、または古いアカウントで知人に変な連絡が届いていると気づいたときは、乗っ取られたときの取り戻す手順を見てください。お金の被害が出た場合は、警察相談専用電話 #9110 に相談できます。

04 習慣にするコツアカウントの見直しは、いつやれば続く?

機種変更やパスワード変更など、どうせアカウントを触るタイミングに合わせると続きます。研究の参加者が望んだ見直しの間隔は、1か月から3か月ごとでした。

先の研究では、新しい端末の設定やアカウント情報の更新が、退会に向いたタイミングとして挙がりました。1件の退会にかけてよい時間は、多くの人が1〜15分と答えました[1]。一度に全部やろうとせず、短く区切るのがこつです。

ほかの対策とあわせて、自分の状態はAI時代の防犯 セルフ点検で確かめられます。何から守るか迷うときは専門家が自分のために優先する3つの対策も参考になります。

05よくある質問

使っていないアカウントは消したほうがいい?

使う予定がないなら、退会をおすすめします。使っていないアカウントは、登録先から情報が漏れたときに個人情報が巻き込まれるうえ、入られても気づきにくいためです。思い出のデータなどで残したい場合は、ほかと違うパスワードと二段階認証で守ってください。

忘れているアカウントはどうやって探す?

メールの受信箱を「登録完了」「ようこそ」「会員登録」で検索し、スマホやブラウザに保存されたパスワードの一覧も見ます。メールやSNSの設定にある「連携しているアプリ」の一覧も手がかりになります。2026年の研究でも、人は使っていないアカウントの数を少なく見積もりがちでした。

退会ボタンが見つからないときは?

設定画面の「アカウント」「プライバシー」を確認し、なければそのサービスのヘルプで「退会」「アカウント削除」を検索します。それでも見つからない場合は問い合わせ窓口に削除を依頼します。退会の前に、カード情報と住所を消しておくと安心です。

昔のSNSが乗っ取られて、知人に変なメッセージが届いていたら?

まずログインできるならパスワードを変え、できなければサービスに連絡します。あわせて、知人に「乗っ取られたので連絡には応じないで」と別の手段で知らせてください。お金の被害が出た場合は、警察相談専用電話 #9110 に相談できます。

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出典

  1. Bumiller, F., Delgado Rodriguez, S., Mecke, L., Distler, V., & Alt, F. (2026). Too Many Zombies: Exploring Challenges and Motivations for (Not) Deleting Unused Online Accounts. CHI '26. https://doi.org/10.1145/3772318.3790497
  2. Liu, Y., Jia, Y., Tan, Q., Liu, Z., & Xing, L. (2022). How Are Your Zombie Accounts? Understanding Users' Practices and Expectations on Mobile App Account Deletion. 31st USENIX Security Symposium. https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity22/presentation/liu-yijing
  3. Thomas, K., Pullman, J., Yeo, K., et al. (2019). Protecting accounts from credential stuffing with password breach alerting. 28th USENIX Security Symposium. https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity19/presentation/thomas
  4. 国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣. 「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」(2026年3月12日、2025年分). https://www.soumu.go.jp/main_content/001059979.pdf
  5. 個人情報保護委員会. 「令和7年度 年次報告の概要について」(2026年7月). https://www.ppc.go.jp/files/pdf/080707_annual_report_gaiyou.pdf