AI時代の防犯

帰省したら親のスマホを一緒に点検。高齢の親を狙う詐欺の入り口をふさぐ5つ

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-11)

テーブルに置かれた古い電話
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(スマホの機種・アプリ・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

帰省したら、親のスマホを親と一緒に5つだけ点検しておくと安心です。詐欺の入り口の多くは電話とメッセージで、犯人と話す前に止める仕組みがいちばん確かな守りになります。親を疑うためではなく、家族みんなの決まりとして、親の同意をとって一緒に進めます。

3行でわかる

  1. 2025年の特殊詐欺で、犯人が最初に使った手段は電話が78.8%、メール・メッセージが13.8%。入り口はほぼスマホと電話。
  2. ネットの相談相手は「家族・親戚」が最も多い。研究では、高齢の人も身近な人に聞くことを選び、親の好みを知る家族の手助けが役に立つとされている。
  3. 点検は、自動更新・知らない番号・リンク・画面ロック・お金の電話のかけ直しの5つ。帰省中の30分ほどで終わる。

01 犯罪者側から見ると高齢の親のスマホは、詐欺する側から何が狙い目?

詐欺する側が狙うのは、知らない番号の電話にそのまま出ること、メッセージのリンクを開くこと、そして一人で急いでお金を動かす場面です。どれも親の注意力ではなく、設定と家族の決まりでふさげます。

特殊詐欺は、まず連絡をとるところから始まります。警察庁によると、2025年に犯人が最初に使った手段は電話が78.8%、SMS・SNS・メールなどのメッセージが13.8%、ウェブを見ているときに突然出る警告画面(ポップアップ)が4.6%でした[1]。

家族や警察官を名乗る詐欺と還付金詐欺は9割以上が電話です。身に覚えのない料金を請求する詐欺では、メッセージが47.9%で最多でした[1]。

犯行に使われたと報告された電話番号のうち、携帯電話の番号は2024年の5,375件から2025年の14,593件へ、約2.7倍に増えました[1]。「携帯からの電話だから知り合いだろう」とは言えなくなっています。

警察庁は、ニセ警察詐欺の広がりを受けて犯人側と接触すると誰でもだまされるおそれがあるとして、まず接触しないための対策を呼びかけています[1]。親のスマホの点検は、この「接触しない仕組み」を家の中に作る作業です。

02 研究と統計でわかっていること親のスマホの詐欺対策は、家族が手伝うと効果がある?

家族は、ネットで困ったときにいちばん多く頼られる相談先です。2025年の調査では、ネット利用者の相談相手は「家族・親戚」が最も多く、7割を超えていました。研究では、親の好みを知っている家族ほど役に立つ手助けができるとされています。

51.3%特殊詐欺の被害(法人を除く)のうち65歳以上の割合(2025年)
78.8%犯人が最初に使った手段が電話だった割合(2025年)
68.1%70〜79歳でスマホを持っている人の割合(2025年)
77.8%ネットの相談相手に「家族・親戚」を挙げたネット利用者の割合(2025年)

総務省の2025年の調査では、スマホを持っている人は60〜69歳で88.6%、70〜79歳で68.1%、80歳以上で33.0%でした[2]。詐欺の電話もメッセージも、親のスマホに届きます。

Grilliら(2021)[3]

本物のメールとフィッシングメールを並べて「どのくらい怪しいか」を評価してもらうと、年齢が高い人ほど、本物と偽物を見分ける力が弱い関連がありました。メール全体を「安全」と見る傾向そのものは、年齢と関係していませんでした。

対象: 認知機能に問題のない中高年65人 / 限界: 人数が少なく、実際にリンクを開いたかどうかを測った研究ではありません。

Mendel、Toch(2019)[4]

高齢の家族のスマホの安全やプライバシーの困りごとを手伝った体験談と、手伝う気持ちを調べた結果、人は他の相手より高齢の家族を手伝おうとしやすいことがわかりました。役に立つ手助けには、その家族の好みを知っていることが欠かせませんでした。

対象: 高齢の家族を手伝った人の体験談の分析と、手伝う気持ちに影響する要因の量的な調査 / 限界: 手助けで被害が減ったかどうかは測っていません。

Nicholson、Coventry、Briggs(2019)[5]

高齢の人は、セキュリティの情報をネットで調べるより、身近な人に聞くことを選んでいました。相手は詳しさより「すぐ聞けるかどうか」で選ばれていました。

対象: 地域で暮らす高齢者22人への聞き取り / 限界: 少人数の聞き取り調査で、日本の高齢者にそのまま当てはまるかはわかりません。

高齢の人のだまされやすさの研究全体はなぜ高齢者は詐欺の被害にあいやすいのかで整理しています。この記事では、帰省のときにスマホでできることに絞ります。

03 お金をかけずに今日からできること帰省のとき、親のスマホは何を点検すればいい?

点検するのは、自動更新・知らない番号の着信・リンクの決まり・画面ロックと遠隔で探す設定・お金の電話のかけ直しの5つです。子が代わりに操作せず、親の同意をとって親の指で設定してもらいます。

点検すること詐欺する側が使うすき
1. 自動更新直されていない古い弱点
2. 知らない番号・国際電話知らない電話にそのまま出ること
3. リンクを開かない決まりSMS・メールの偽サイトへの誘導
4. 画面ロックと遠隔で探すなくしたスマホから情報を抜かれること
5. お金の電話はかけ直す急がせて一人で決めさせること
1

スマホとアプリの更新を自動にする

設定画面で、本体とアプリの自動更新がオンかを一緒に見ます。古い機種で更新が止まっていたら、その機種でお金のアプリを使わないよう話します(理由は専門家が自分のために優先する3つ)。

所要 5分

2

知らない番号と国際電話の着信を見直す

連絡先にない番号は留守番電話で受ける、国際電話の着信を止める、などを親と選びます。固定電話は申し込めば国際電話の発着信を無料で休止できます[1]。手順は「+」で始まる着信を止める対策にまとめています。

所要 10分

3

「SMSやメールのリンクは開かない」と決める

宅配や料金の連絡が来ても、リンクではなく、いつも使うアプリやブックマークから確かめる決まりにします。見分けるより開かないほうが確実です(リンクを開かない仕組み)。急に鳴る警告画面の番号にも電話しません(サポート詐欺の止め方)。

所要 5分

4

画面ロックと「遠隔で探す」を確かめる

画面ロックがかかっているか、なくしたときに別の端末から探せる設定がオンかを見ます。暗証番号は親が決め、子は聞かなくて大丈夫です(スマホをなくしたときの備え)。

所要 5分

5

「お金の話が出たら一度切って、かけ直す」を決める

家族や警察を名乗る電話でお金や暗証番号の話が出たら、一度切って、連絡先に登録してある番号にかけ直します。家族だけの合言葉は家族の合言葉カードで作れます。警察を名乗る電話はニセ警察詐欺の記事で解説しています。

所要 5分

切り出すときは「最近は若い人もだまされているから、うちも家族でそろえておこう」と、自分のスマホも一緒に点検する形にします。親だけを心配している言い方にしないのがコツです。

ネット通販の定期購入など、詐欺以外のスマホのトラブルは姉妹メディアの親がスマホやネットでトラブルに(親が年をとったら)にまとめています。

04 習慣にするコツ親のスマホの点検は、一度やれば終わり?

一度で終わりにせず、帰省のたびに5分だけ見直すと続きます。手口は年ごとに変わるため、設定よりも「困ったら家族に聞ける」関係を保つことが、いちばん長く効く対策です。

ほかの点検項目は、姉妹メディアの帰省チェックリスト(親が年をとったら)にまとまっています。自分と家族の設定はAI時代の防犯 セルフ点検でも確かめられます。お金を払ってしまった、暗証番号を伝えてしまったときは、緊急なら110番、迷うときは警察相談専用電話 #9110 に相談してください。

05よくある質問

帰省のとき、親のスマホは何から点検すればいい?

電話から始めます。2025年の特殊詐欺で、犯人が最初に使った手段は電話が78.8%でした[1]。知らない番号や国際電話の着信を止める設定と、「お金の話が出たら一度切ってかけ直す」という家族の決まりを先に確かめ、そのあとで自動更新・リンク・画面ロックを見ます。

親のスマホを子どもが勝手に設定してもいい?

勝手に設定するのは避けてください。親が設定の意味を知らないままだと、元に戻したり、困ったときに相談しづらくなったりします。何のための設定かを話し、親の同意をとって、できれば親の指で操作してもらいます。

高齢の親はスマホの詐欺にだまされやすいの?

年齢だけでは決まりません。2025年は20代・30代の被害も増え、警察庁は犯人と接触すれば誰でもだまされるおそれがあるとしています[1]。一方、海外の研究では、年齢が高いほど本物とフィッシングのメールを見分けにくい関連が見られました[3]。見分ける力より、接触しない仕組みを優先します。

親がもう連絡してしまった、お金を払ってしまったときは?

お金を払った、暗証番号を伝えたなど被害が出ているときは警察に相談します。緊急時は110番、迷うときは警察相談専用電話の#9110です。身に覚えのない請求や契約のトラブルは、消費者ホットライン188で近くの消費生活センターにつながります[6]。

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出典

  1. 警察庁 (2026). 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)(資料1). https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260605/01.html
  2. 総務省 (2026). 令和7年通信利用動向調査の結果. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf
  3. Grilli, M. D., et al. (2021). Is This Phishing? Older Age Is Associated With Greater Difficulty Discriminating Between Safe and Malicious Emails. The Journals of Gerontology: Series B, 76(9), 1711-1715. https://doi.org/10.1093/geronb/gbaa228
  4. Mendel, T., & Toch, E. (2019). My Mom was Getting this Popup: Understanding Motivations and Processes in Helping Older Relatives with Mobile Security and Privacy. Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies, 3(4), Article 147. https://doi.org/10.1145/3369821
  5. Nicholson, J., Coventry, L., & Briggs, P. (2019). "If It's Important It Will Be A Headline": Cybersecurity Information Seeking in Older Adults. Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems, Paper 349. https://doi.org/10.1145/3290605.3300579
  6. 消費者庁. 消費者ホットライン「188」. https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/