「警察です」の電話は疑っていい。ニセ警察詐欺が急増した理由と、だまされる心の流れ

「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査のために資産を確認する」。警察官を名乗る電話で、お金をだまし取る手口が急増しています。2025年、このニセ警察詐欺は11,014件、被害額は1,005.0億円にのぼり、特殊詐欺全体の約4割を占めました。被害は高齢者だけでなく、20代・30代にも広がっています。
3行でわかる
- 2025年のニセ警察詐欺は11,014件、被害額は1,005.0億円で、特殊詐欺の認知件数の39.6%を占めた。
- 件数は30代(2,239件)と20代(1,718件)が多く、被害額は70代と60代が大きい。若い人も狙われている。
- 詐欺の被害者の語りを分析した研究では、信頼させる、感情を揺さぶる、自分で止められなくなる、という3段階の流れが示されている。
01犯罪者側から見ると何が起きているか
だます側は「警察」という肩書きで信頼させ、「あなたが疑われている」と不安にさせて、考える余裕を奪います。
ニセ警察詐欺は、警察官などを名乗り、捜査を名目に現金などをだまし取る手口です。警察庁は2025年からこの手口の統計を取り始めました。
例えば、次のような話が出たら詐欺を疑います。
- 「あなたの口座が犯罪に使われている」と言われる
- 「捜査のため」とお金や暗証番号、資産の確認を求められる
- 「誰にも話すな」「捜査の秘密だ」と口止めされる
電話でお金や暗証番号を求められたら、相手が警察を名乗っていても、まず詐欺を疑うことが大切です。
02研究と統計でわかっていること
ニセ警察詐欺は2025年の特殊詐欺の約4割を占めました。だまされる過程には、信頼、感情の揺さぶり、自制の喪失という段階があります。
警察庁(2025年の統計)[1]
ニセ警察詐欺は11,014件、被害額は1,005.0億円で、特殊詐欺の認知件数の39.6%を占めた。件数は30代が2,239件、20代が1,718件と若い年代に多く、被害額は70代が274.6億円、60代が256.3億円と大きい。既遂1件当たりの被害額は922.5万円だった。
対象: 全国の警察が把握した件数 / 限界: 届け出のあった被害のみの数字。
Huangら(2026)[2]
電話・通信の詐欺の被害に遭った71人への聞き取りから、だまされる過程を「信頼させる」「感情を操る」「行動を自分で止められなくなる」の3段階に整理した。大学の調査では、被害に遭った人は真実を確かめようとする姿勢が低く、人を信じ込みやすい傾向が高かった。
対象: 被害者71人への聞き取りと大学の調査 / 限界: 中国での研究で、被害の後に振り返った回答。
Muellerら(2020)[3]
18〜82歳の281人を調べた研究で、若い人のグループは年上のグループより詐欺にだまされやすく、年上のグループは詐欺をよりリスクが高いと感じていた。
対象: オンラインで募集した281人 / 限界: 投資詐欺の場面を想定した調査で、実際の被害を調べたものではない。
03お金をかけずに今日からできること
警察を名乗る電話でお金の話が出たら、電話を切って自分で確かめます。どれもお金はかかりません。
お金・暗証番号の話が出たら切る
警察を名乗る相手が、振り込み、暗証番号、資産の確認を求めてきたら、その場で電話を切ります。
所要 10秒
自分で警察に確かめる
電話で言われた番号ではなく、自分で調べた最寄りの警察署か、警察相談専用電話(#9110)にかけて確かめます。
所要 5分
「誰にも話すな」と言われたら、すぐ話す
口止めは、相談させないための手口です。家族や身近な人にすぐ話します。
所要 数分
04習慣にするコツ
肩書きより「何を求めているか」で判断することです。信頼させ、不安にさせ、急がせる流れに気づいたら止まります。
- 「警察を名乗る電話でも、お金の話が出たら切って確かめる」を家族で共有しておく。
- 知らない番号や国際電話番号からの着信には、すぐに出ない。
- 身の危険を感じたときや、お金を渡してしまったときは、すぐに110番する。
05よくある質問
警察を名乗る電話でお金を求められたらどうすればいいですか
その場で応じず電話を切り、自分で調べた警察署の番号か警察相談専用電話(#9110)にかけて確かめます。警察を名乗り捜査名目でお金をだまし取るのが、ニセ警察詐欺の手口です。
ニセ警察詐欺はどれくらい起きていますか
警察庁によると、2025年は11,014件、被害額は1,005.0億円で、特殊詐欺の約4割を占めました。
若い人も狙われますか
はい。2025年の件数は30代と20代が最も多く、若い年代にも被害が広がっています。
出典
- 警察庁. 「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日). https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2025.pdf
- Huang, Y., Gao, J., Zhou, Y., He, Q., & Gao, X. (2026). Psychological Processes of Telecommunications Fraud: Development of a Three-Stage Framework. Journal of Medical Internet Research, 28, e87395. https://doi.org/10.2196/87395
- Mueller, E. A., Wood, S. A., Hanoch, Y., Huang, Y., & Reed, C. L. (2020). Older and wiser: age differences in susceptibility to investment fraud. Journal of Elder Abuse & Neglect, 32(2), 152-172. https://doi.org/10.1080/08946566.2020.1736704