一度入られた家はまた狙われるのか。空き巣の再被害の研究

一度空き巣に入られた家は、しばらくの間、また狙われやすくなります。オランダの6年分の警察記録では、再被害の起こりやすさは最初の1か月が平均の6.4倍でした。被害の直後こそ、すぐに対策を取ることが大切です。
3行でわかる
- 空き巣の再被害は、最初の被害の直後に最も起きやすく、時間とともに下がります。
- 同じ犯人やその知り合いが戻ってくる、というのが有力な説明です。
- 被害は近所にも広がります。英国の研究では、被害から1〜2か月・300〜400メートル以内の家も危険が高まっていました。
01犯罪者側から見ると何が起きているか
一度成功した家は、犯人にとって「入り方も、逃げ方も、何があるかも分かっている家」です。同じ家や、似た造りの近所の家にまた来るのは、犯人にとって合理的なのです。
オランダの研究者は、再被害の最も有力な説明は「同じ犯人か、その知り合いが戻ってくること」だとしています。犯人は自宅の近くで犯行を重ねやすく、それが同じ家や近所での再被害につながります。
- 侵入口がまだ直っていない
- 盗まれた物が買い直されているかもしれない
- 近所の家も、同じ造り・同じ弱点を持っていることが多い
02研究と統計でわかっていること
再被害の危険は最初の1か月が最も高く、その後は下がっていきます。危険は被害に遭った家だけでなく、近所にも広がります。
Kleemans(2001)[1]
オランダのエンスヘデ市の6年分の警察記録で、840件の再被害を分析しました。再被害は最初の1か月に平均の6.4倍起きており、時間とともに急に下がっていました。被害は一部の家に偏っており、偶然では説明できませんでした。
対象: 警察に届けられた住宅の侵入窃盗 / 限界: 1つの市のデータです。届け出のない被害は含まれません。
JohnsonとBowers(2004)[2]
英国マージーサイドの警察記録を、感染症の広がりを調べる手法で分析しました。空き巣は場所と時間でまとまって起きており、1件の被害の後、1〜2か月の間、300〜400メートル以内の家でも危険が高まっていました。
対象: 英国マージーサイド州の住宅の侵入窃盗 / 限界: 英国の住宅地のデータで、日本の住宅事情とは異なります。
Townsleyら(2015)[3]
オランダ・英国・オーストラリアの3都市で、侵入窃盗犯は自宅に近い地域ほど犯行を選びやすいことが確かめられました。
対象: 854人の侵入窃盗犯による1,835件 / 限界: 捕まった犯人のデータのみです。
03お金をかけずに今日からできること
被害の直後に、侵入口をふさぎ、近所に知らせることです。危険が最も高いのは最初の1か月なので、すぐに動くことが大切です。
すぐに警察に届け出る
届け出が、被害の記録と警察の対応の出発点になります。
所要 当日
侵入口をその日のうちに直す・ふさぐ
割れた窓や壊れた鍵をそのままにしないことです。応急でも、入れない状態にします。
所要 当日
合鍵が盗まれた可能性があれば鍵を替える
合かぎは侵入手口の上位です。鍵の入った物が盗まれたら、鍵の交換を管理会社や大家に相談します。
所要 数日以内
近所の人に被害を伝える
危険は近所にも広がります。被害を知らせることで、周りの家も施錠や見守りを強められます。
所要 10分
04習慣にするコツ
「1か月は警戒期間」と決めて、意識的に守りを固めます。近所で被害を聞いたときも同じです。
- 被害の後1か月は、外出前の施錠確認を声に出して行う。
- 近所で被害があったと聞いたら、自分の家も窓と鍵を見直す。
- 被害を恥ずかしがらずに話せる関係を、近所とつくっておく。
「同じ家に二度は来ないだろう」と考える人は少なくありません。研究はその逆を示しています。空き巣が家を選ぶ仕組みは「空き巣はどんな家を狙うのか」、近所の目の効果は「近所づきあいは防犯になるのか」で紹介しています。
05よくある質問
一度空き巣に入られた家はまた狙われますか?
狙われやすくなります。オランダの研究では、再被害は最初の1か月に平均の6.4倍起きていました。危険は時間とともに下がるので、被害の直後の対策が大切です。
なぜ同じ家がまた狙われるのですか?
同じ犯人かその知り合いが戻ってくる、というのが有力な説明です。入り方や家の様子が分かっているため、犯人にとって入りやすい家になっています。
近所で空き巣があったら自分の家も危ない?
危険は高まります。英国の研究では、1件の被害の後、1〜2か月の間、300〜400メートル以内の家でも被害が起きやすくなっていました。
空き巣に入られたら最初に何をすればいい?
中に犯人が残っている可能性があるので、家に入らずに110番します。その後、侵入口をふさぎ、合鍵が盗まれた可能性があれば鍵の交換を相談しましょう。
出典
- Kleemans, E. R. (2001). Repeat burglary victimization: Results of empirical research in the Netherlands. Crime Prevention Studies, 12, 53-68. https://popcenter.asu.edu/sites/default/files/library/CrimePrevention/Volume_12/04-Kleemans.pdf
- Johnson, S. D., & Bowers, K. J. (2004). The burglary as clue to the future: The beginnings of prospective hot-spotting. European Journal of Criminology, 1(2), 237-255. https://doi.org/10.1177/1477370804041252
- Townsley, M., et al. (2015). Burglar target selection: A cross-national comparison. Journal of Research in Crime and Delinquency, 52(1), 3-31. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4361488/
- 警察庁「住まいる防犯110番 手口で見る侵入犯罪の脅威」. https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1.html