夜道・つきまとい

スマホを見ながら夜道を歩くと、何に気づけなくなるのか。注意がそれると起きること

約5分で読めます 出典照合済み(2026-10-21)

夜の歩道と街灯
Photo: Famartin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

帰り道、メッセージの返信や動画を見ながら歩くのは、よくあることです。でも、画面に集中している間、周りで何が起きているか、ほとんど気づけていないかもしれません。怖がらせるつもりはありません。歩行中のスマホ利用を調べた研究では、画面に注意を向けている間、すぐそばの変化にも気づきにくくなることがわかっています。何にどれだけ気づけなくなるのかを知れば、夜道で見直す点が見えてきます。

3行でわかる

  1. 画面に集中していると、周囲の視覚情報や音への気づきが大きく落ちることが、複数の研究で示されている。
  2. 台北の交差点を使った調査では、ゲームをしていた歩行者の45.7%が、近くを歩いた目立つ人物に気づかなかった(注意をそらしていない歩行者は2.9%)。
  3. 暗い道・人通りの少ない道に入る前に画面をしまう、音量を下げるなど、お金をかけずに今日からできる見直しがある。

01 犯罪者側から見ると周囲に気づいていない人は、なぜ狙われやすいのか?

奪う側にとって都合がよいのは、近づいても気づかれにくく、反応が遅れやすい相手だと考えられる。画面に集中している人は、その条件に当てはまりやすい。

路上でひったくりや強盗をする側は、相手に気づかれないうちに近づき、短時間で終わらせたいと考えている。暗い時間帯ほど対人強盗が起きやすいという研究もある。

スマホの画面に集中している人は、近づく相手の足音や視界の端の動きに気づきにくい。何かが起きても、反応が遅れやすい。奪う側からすれば、これは「気づかれにくく、反応が遅い」相手そのものであり、周囲への注意を保っている人よりも狙いやすく見える可能性がある。

02 研究と統計でわかっていること画面に集中していると、どれくらい周りに気づけなくなるのか?

台北の観察調査では、ゲームをしていた歩行者の45.7%が近くの目立つ人物に気づかず、文字入力をしながら歩く実験では、周囲の視覚情報を検出できた割合が平均52.6%まで下がった。

45.7%ゲーム中に、近くを歩いた目立つ人物に気づかなかった歩行者の割合(台北、注意をそらしていない対照群は2.9%)
66.7%ゲーム中に、信号の残り秒数を覚えていなかった歩行者の割合(対照群は6.2%)
52.6%文字入力をしながら歩いているとき、周囲の視覚情報を検出できた割合(実験、基準を100%としたとき)
53%横断中に携帯電話を使うことがあると答えた人の割合(中国、2021年発表の調査)

Chen & Pai(2018)[1]

台北市内の交差点で歩行者2,668人を観察し、2,556人を分析対象とした調査では、信号待ちや横断中にゲーム(主にポケモンGO)をしていた人の45.7%が、近くを歩いた目立つ人物(着ぐるみ姿)に気づかなかった。音楽を聴いていた人の65.7%は、流れた国歌に気づかなかった。注意をそらしていない対照群では、これらに気づかなかった人は2.9%・4.2%にとどまった。

対象: 台北市の1交差点で観察された歩行者2,556人(2016〜2017年) / 限界: 観察と事後の聞き取りを組み合わせたもので、因果関係は確認できない。調査期間がポケモンGOの人気が急上昇した時期に重なり、一般化には注意が必要。

Limら(2017)[2]

トレッドミル上で歩きながら文字入力をする実験では、視野内の変化を検出できた割合は平均52.6%にとどまった(予備テストで、文字入力をしなければほぼすべて検出できたことから、基準を100%とした場合)。視野が広く、中心で見る必要がある課題ほど検出率が下がった。歩行の安定性そのものには統計的な差が見られなかった一方、研究者らは「歩行が安全だと解釈すべきではない」と述べている。

対象: 健康な若年成人19人(平均20.3歳) / 限界: トレッドミル上の実験で、実際の屋外環境の複雑さは再現されていない。対象が少人数かつ若年層に限られる。

Houら(2021)[3]

中国でのオンライン調査(387人、10省)では、横断中に携帯電話を使うことが(ときどき以上)あると答えた人が53%にのぼった。使う・使わないを最も強く説明していたのは「使うつもりかどうか」という本人の意図で、「横断中の使用は危ない」と思う意識は、使用を説明する要因として確認されなかった。

対象: 中国10省のオンライン調査回答者387人(17〜60歳、19〜30歳が77.3%を占める) / 限界: 自己申告式で、実際の行動ではなく回答者の記憶に基づく。年齢層に偏りがある。

03 お金をかけずに今日からできること今日、無料でできる見直しは?

暗い道や人通りの少ない道に入る前に画面をしまう、イヤホンの音量を下げる、交差点の手前で一度顔を上げる。この3つから始められる。

1

暗い道・人通りの少ない道に入る前に、画面をしまう

明るく人通りのある道から、暗い道や街灯の少ない道に入る手前で、スマホをポケットやバッグにしまう。

所要 0分

2

イヤホンは片耳だけ、または音量を下げる

両耳をふさぐと、近づく足音や声に気づきにくくなる。片耳だけにする、音量を下げるなど、周りの音が聞こえる状態を保つ。

所要 10秒

3

交差点・曲がり角の手前で、画面から目を離す

見通しの悪い角や交差点に差しかかったら、画面を見る手を一度止めて顔を上げる。ひったくりは、バイクや自転車で近づいてくることが多い。顔を上げる一瞬が、周りの動きに気づくきっかけになる。

所要 数秒

4

帰宅予定を家族や友人に伝える

スマホの位置情報の共有機能を使うか、メッセージで「今から帰る」と一言伝えておく。何かあったときに気づいてもらいやすくなる。

所要 1分

04 習慣にするコツ見直しを、どうすれば続けられる?

「この交差点を過ぎたら画面をしまう」のように、場所や行動を決めごとにしておくと、毎回考えずに続けやすくなる。

05よくある質問

イヤホンを使うこと自体はよくないのですか?

使い方次第です。研究では画面を見ながらの操作そのものが、周囲の視覚情報の取り込みを妨げることがわかっています。音量を下げる、片耳だけにするなど、周りの音が聞こえる状態を保つ工夫が助けになると考えられます。

明るい道でもスマホを見ながら歩くのは危険ですか?

今回取り上げた研究は明るさを比較したものではありません。ただ、画面に集中すること自体が周囲への気づきを下げるとわかっているため、人通りが少ない道や暗い道ではより注意が必要と考えられます。

後をつけられている気がしたら、どうすればいいですか?

身の危険を感じたときは、迷わず110番に通報してください。緊急ではない不安や相談は、警察相談専用電話(#9110)に相談できます。

出典

  1. Chen, P.-L., & Pai, C.-W. (2018). Pedestrian smartphone overuse and inattentional blindness: an observational study in Taipei, Taiwan. BMC Public Health, 18, 1342. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6311895/
  2. Lim, J., Chang, S. H., Lee, J., & Kim, K. (2017). Effects of smartphone texting on the visual perception and dynamic walking stability. Journal of Exercise Rehabilitation, 13(1), 48–54. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5331999/
  3. Hou, M., Cheng, J., Xiao, F., & Wang, C. (2021). Distracted Behavior of Pedestrians While Crossing Street: A Case Study in China. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(1), 353. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7796495/