一人暮らしの防犯

引っ越し先の住所を知られないためにできること。住民票の支援措置、郵便の転居届、写真と表札

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Some used moving boxes from Sweden
Photo: Boivie / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

引っ越しは、離れたい相手との距離をつくる大きな一歩です。それなのに「新しい住所が、どこかから知られてしまうのでは」と不安になる人は少なくありません。住所が伝わる道すじは、役所の書類、郵便、目に見える情報の3つにだいたい分けられます。この記事では、それぞれの道すじに公的な仕組みと自分でできることがどこまであるかを、総務省・日本郵便・警察庁・内閣府の資料で確かめました。

3行でわかる

  1. 相手からの住民票の写しや戸籍の附票の請求を止める「DV等支援措置」は、DV・ストーカー行為等・児童虐待の被害者(とこれらに準ずる人)が対象で、警察などへの相談と市区町村の確認が必要です。
  2. 郵便の転居届は、e転居だと旧住所や新住所の住人に転居情報が伝えられることへの同意が必要です。旧住所に知られたくない人がいるなら、郵便局の窓口で出すのが安心です。
  3. 役所と郵便の手続きをしても、表札・郵便物の宛名・引っ越しの写真から住所はわかります。見える情報を減らすことは、誰でも今日からできます。

01 犯罪者側から見ると引っ越し先の住所は、どこから知られる?

住所を探す側が頼るのは、役所の書類(住民票の写し・戸籍の附票)、郵便の転送、そして表札や写真のような目に見える情報です。役所の書類は、本人になりすましたり、第三者に頼んだりして請求される場合があることを、総務省自身が想定しています。

総務省は、DV等支援措置の説明の中で、相手が第三者になりすまして住民票の写しなどを請求する場合と、相手から依頼を受けた第三者が請求する場合を挙げ、本人確認や請求理由の審査を厳しくするとしています。つまり「本人が直接、窓口に来る」以外の道も、仕組みの側で想定されているということです。

郵便では、転居届を出すと旧住所あての郵便物が1年間、新住所に転送されます。便利な仕組みですが、出し方によっては、旧住所に住んでいる人に転居の事実が伝わることがあります(03で詳しく書きます)。

役所や郵便の手続きと関係なく伝わるのが、目に見える情報です。総務省は、SNSに上げた写真や動画に写り込んだものや訪れた店から、撮影場所や生活範囲が推測されることがあると注意しています。秋田県警察は、郵便物の氏名を見られないよう郵便受けに鍵をかけること、表札は名字だけにすることを勧めています。

02 研究と統計でわかっていることつきまといで引っ越す人はどれくらいいる?

内閣府の令和5年度の全国調査では、つきまとい等の被害があった人の9.6%が、被害によって転居していました。警察へのストーカー事案の相談は令和7年に22,881件で、前年より16.9%増えています。

22,881件全国のストーカー事案の相談等件数(警察庁、令和7年。前年比16.9%増)
3,037件ストーカー規制法にもとづく禁止命令等の発出件数。過去最多(警察庁、令和7年)
9.6%つきまとい等の被害があった人のうち、被害によって転居した人(内閣府、令和5年度調査)
1年DV等支援措置の期間。終了の1か月前から延長を申し出られる(総務省)

警察庁「ストーカー対策の現状」(令和8年10月の有識者検討会資料)[5]

令和7年のストーカー事案の相談等件数は22,881件で、前年より3,314件(16.9%)増えました。禁止命令等の発出は3,037件で、過去最多です。

対象: 全国の警察が受けた相談と、実施した行政措置 / 限界: 相談に来た人の数で、相談しなかった被害は含まれません。転居したかどうかは集計されていません。

内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」(令和5年度)[6]

特定の相手からの執拗なつきまとい等の被害があった301人のうち、68.1%が生活に何らかの変化があったと答えました。「転居(引越し)した」は9.6%(女性11.2%、男性5.2%)、「携帯の電話番号やメールアドレス、SNSのアカウントを削除した・変えた」は17.3%でした。加害者で最も多かったのは元交際相手(23.9%)です。

対象: 全国調査で被害経験があると答えた301人 / 限界: 回答者の記憶にもとづく自己申告です。引っ越した後に住所を知られたかどうかは調べていません。

総務省「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置」[1]

支援の必要性が確認された人について、相手からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」「住民票(除票を含む)の写し等の交付」「戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付」の請求を拒否します。それ以外の第三者からの請求も、本人確認と請求理由の審査を厳しくします。

対象: DVの被害者で生命や心身に危害を受けるおそれがある人、ストーカー行為等の被害者で更に反復してつきまとい等をされるおそれがある人、児童虐待を受けた児童である被害者、これらに準ずる人 / 限界: 止められるのは役所への請求です。郵便物や写真、知り合いを通じて伝わる情報は、この措置の範囲ではありません。

「引っ越した後、どの道すじで住所を知られたか」を数えた全国の統計は見つかりませんでした。ここでは、公的な制度の説明から、どこに隙ができうるかを整理しています。

03 お金をかけずに今日からできること新しい住所を知られないために、何をすればいい?

道すじごとに1つずつ手を打ちます。役所の書類は支援措置か本人通知制度、郵便は窓口での転居届、見える情報は表札・宛名・写真の見直しです。支援措置は対象が限られるので、対象かどうかを先に相談します。

1

支援措置の対象になりうるなら、先に警察や相談機関に相談する

総務省は、原則としてはじめに警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所などに相談し、その後に住民票のある市区町村などへ「支援措置申出書」を出す流れを示しています。市区町村は、相談機関の意見や保護命令の決定書の写し、ストーカー規制法にもとづく警告等の書面などで必要性を確かめます。期間は1年で、終了の1か月前から延長を申し出られます。

所要 相談に30分〜(電話は #9110、DVは #8008)

2

対象外でも、本人通知制度があれば登録する

大阪府によると、本人通知制度は、住民票の写しなどを代理人や第三者に交付したとき、事前に登録した本人に知らせる制度です。法令にもとづく制度ではなく、各市区町村が独自に実施しています。交付そのものは止められませんが、不正な請求に早く気づけます。住所地や本籍地の市区町村のサイトで「本人通知制度」を検索して、あるかどうかを確かめます。

所要 確認5分、登録は窓口で15分ほど

3

旧住所に知られたくない人がいるなら、転居届は郵便局の窓口で出す

日本郵便によると、e転居で申し込むには、郵便局社員が旧住所や新住所を訪ね、住んでいる人に必要な範囲で転居情報を伝えることへの同意が必要です。同意できない場合は窓口での手続きが案内されています。窓口で本人と旧住所の確認ができれば、旧住所あての確認書も送られません。なお、転送は届出日から1年間で、登録までに3〜7営業日かかります。

所要 窓口で10分

4

表札は出さないか名字だけにし、宛名は切ってから捨てる

秋田県警察は、表札を付けるなら名字だけにすること、個人情報が書かれたものは細かく切って捨てること、郵便受けに鍵をかけることを勧めています。引っ越しの段ボールに貼った伝票やラベルも、住所と名前が書かれた紙として同じように扱います。

所要 10分

5

新居の写真は、窓の外・建物の外観・最寄りの景色を写さない

総務省は、写真に写り込んだものや訪れた店から生活範囲が推測されると注意しています。引っ越しの報告や荷ほどきの写真は、窓の外の景色や建物の外観が写っていないかを見てから載せます。写真から場所がわかる仕組みは「SNSの写真1枚から家がわかる」で詳しく紹介しています。

所要 投稿ごとに30秒

04 習慣にするコツ引っ越しの前後で、何をいつやればいい?

「引っ越す前」「引っ越した週」「その後の1年」の3つに分けると、漏れが減ります。支援措置と転送はどちらも1年で区切られるので、期限を手帳に書いておきます。

名前で検索すると何が出てくるか、SNSの公開範囲はどうなっているかは「名前で検索すると何がわかるのか」で見直せます。住まい・帰り道・部屋・SNSの隙は、一人暮らしの防犯チェックでまとめて確かめられます。

引っ越し先の近くで相手を見かけた、待ち伏せされたなど、身の危険を感じたら110番です。緊急でなければ警察相談専用電話 #9110 に相談できます。つきまといの相談のしかたは「つきまといは誰から始まるのか」で紹介しています。

05よくある質問

住民票の閲覧制限(DV等支援措置)は、誰でも申し出られますか?

誰でもではありません。総務省によると、対象はDVの被害者で生命や心身に危害を受けるおそれがある人、ストーカー行為等の被害者で更に反復してつきまとい等をされるおそれがある人、児童虐待を受けた児童である被害者、そしてこれらに準ずる人です。原則として先に警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談し、市区町村が支援の必要性を確認した場合に措置がとられます。自分が当てはまるか迷うときは、その相談の場で聞くことができます。

支援措置の対象にならない場合、住民票の不正な取得に気づく方法はありますか?

本人通知制度を実施している市区町村なら、事前に登録しておくと、代理人や第三者に住民票の写しなどを交付したときに知らせてもらえます。法令にもとづく制度ではなく、各市区町村が独自に実施しているもので、交付を止める制度でもありません。

郵便の転居届を出すと、旧住所の人に新しい住所が伝わりますか?

日本郵便によると、e転居で申し込む場合は、郵便局社員が旧住所や新住所を訪ね、住んでいる人に必要な範囲で転居情報を伝えることに同意する必要があります。同意できない場合は郵便局の窓口で手続きするよう案内されています。窓口で本人確認と旧住所の確認ができれば、旧住所あての確認書は送られません。ただし、窓口で出した場合も、転居の事実を確かめるための訪問などがある場合があると日本郵便は説明しています。心配な事情があれば、窓口で伝えて相談します。

住民票を移さなければ、新しい住所は知られませんか?

そうとは言い切れません。総務省によると、2023年6月から、住民票を移さずに転出して所在がわからない訴えの相手方について、弁護士会が照会した場合に、日本郵便が転居届の新住所を提供する運用が始まっています(DV・ストーカー・児童虐待の事案との関連がうかがわれないと弁護士会が判断した照会に限られます)。住所を知られたくない事情があるときは、支援措置の対象になるかを相談するのが公的な仕組みです。

つきまといの相手に引っ越し先を知られたかもしれません。どうすればいいですか?

身の危険を感じたら110番です。緊急でなければ警察相談専用電話 #9110 に相談できます。配偶者や元配偶者からの暴力が関係するときは、#8008(DV相談ナビ)にかけると近くの配偶者暴力相談支援センターにつながります。見かけた日時・場所・されたことを記録しておくと、相談のときに伝えやすくなります。持ち物や家の機器から居場所を知られる心配があるときは「見守りカメラやGPSタグを乗っ取るのは誰か」も参考にしてください。

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一人暮らしの防犯チェック
住まい・帰り道・部屋にいるとき・SNSで当てはまる隙を選ぶと、今週やること3つがわかる

出典

  1. 総務省「配偶者からの暴力(DV)、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の方は、申出によって、住民票の写し等の交付等を制限できます。」. https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/dv_shien.html
  2. 日本郵便「転居・転送サービス」. https://www.post.japanpost.jp/service/receive/relocation/
  3. 日本郵便「e転居から申込手続を行うと、旧住所の居住者に転居届情報が伝わってしまうのですか。」(よくあるご質問). https://www.post.japanpost.jp/question/701.html
  4. 総務省「郵便の転居届に係る情報の弁護士会への提供の開始」(令和5年5月31日). https://www.soumu.go.jp/main_content/000889008.pdf
  5. 警察庁「ストーカー対策の現状」(ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会 第1回 資料1、令和8年10月19日). https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/1shiryou1.pdf
  6. 内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査報告書」(令和5年度調査) Ⅱ-4 特定の相手からの執拗なつきまとい等の被害経験. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/r05/r05danjokan-6.pdf
  7. 大阪府「本人通知制度」(2026年1月19日更新). https://www.pref.osaka.lg.jp/o040050/shichoson/jukiseido/honnintuti.html
  8. 総務省「インターネットトラブル事例集 気をつけてアップしてたはずなのに」. https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/case/case17.html
  9. 秋田県警察「女性のための防犯ワンポイントアドバイス」. https://www.police.pref.akita.lg.jp/uploads/contents/pages_0000000412_00/002_kodomo-jyosei.pdf
  10. 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター」(DV相談ナビ #8008). https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html