別れた相手が合鍵を持っている・鍵をなくしたら。鍵の交換は誰に頼み、誰が払う?

別れた相手が、まだ部屋の合鍵を持っている。鍵をどこかでなくした。そんなとき、「替えたほうがいいのか」「誰に頼んで、誰が払うのか」で手が止まる人は多いはずです。この記事では、国の賃貸のガイドラインと警察・内閣府の統計から、まず何をすればいいかを順に整理します。
3行でわかる
- 賃貸なら、鍵の交換はまず管理会社か大家さんに相談します。国土交通省のガイドラインでは、なくしたり壊したりしていない鍵の取替えは貸主の負担が妥当、なくした鍵の交換は借主の負担とされています。
- 4階建以上の共同住宅では、合かぎによる侵入が24.6%で2番目に多い手口でした(警察庁、令和7年)。つきまといの加害者は元交際相手が23.9%で最も多い、という国の調査もあります。
- 合鍵は本数を数え、返してもらっても交換を相談します。怖さを感じたら110番、緊急でなければ #9110、交際相手からの暴力は #8008 に相談できます。
01 犯罪者側から見ると合鍵を持つ人は、なぜ「入りやすい」のか?
合鍵があれば、窓を割ったり錠を壊したりせずに、音も跡も残さず入れます。別れた相手なら、部屋の間取りや帰る時間まで知っています。鍵が手元に残っていること自体が、入るための手間をなくしてしまいます。
警察庁は、侵入者は常に「最も簡単に侵入できる方法」を考えていると説明しています。ガラス破りや錠を壊す手口は、時間がかかり、音や跡が残ります。合鍵にはそれがありません。
別れた相手の場合、気をつけたいのは鍵だけではありません。
- 部屋の中の様子と、ふだんの生活時間を知っている
- 合鍵を何本作ったかを、こちらが把握していないことがある
- 返してもらった鍵が、本当に最後の1本かは確かめられない
鍵をなくした場合も、拾った人が住所の手がかりを一緒に手にしていなければ、すぐに使われるとは限りません。ただ、どこでなくしたかわからないときほど、「誰の手にあるかわからない鍵」が1本ある状態になります。
02 研究と統計でわかっていること合かぎ侵入と元交際相手の被害は、どれくらいある?
合かぎによる侵入は、共同住宅で1〜2割台を占めます。つきまといや相談の統計では、交際相手・元交際相手が最も多い相手です。鍵の交換費用は、国のガイドラインに「誰が負担するのが一般的か」の考え方があります。
警察庁「住まいる防犯110番」(令和7年のデータ)[2]
共同住宅(4階建以上)の侵入手口は、1位が鍵のかけ忘れ(39.5%)、2位が合かぎ(24.6%、391件)でした。3階建以下でも合かぎは3位(12.9%、346件)です。警察庁は対策として、鍵を郵便受けなど玄関付近に置かないことと、複製は必要最低限の本数にして確実に管理することを挙げています。
対象: 全国の警察が把握した住宅への侵入窃盗 / 限界: 合かぎを持っていたのが誰か(元交際相手か、隠し場所から見つけた人か)は集計されていません。
内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」(令和5年度)[4]
しつこいつきまといや待ち伏せなどの被害にあったことがある人は10.2%(女性14.0%、男性5.7%)でした。被害にあった301人に加害者との関係を聞くと、「元交際相手」が23.9%で最も多い答えでした。
対象: 全国のアンケート調査(回答2,950人) / 限界: 本人の回答による調査で、鍵や住まいへの侵入に限った数字ではありません。
警察庁生活安全局「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」(令和8年3月)[3]
令和7年のストーカー相談等22,881件のうち、相手が交際相手(元を含む)だったものは8,910件でした。DV(配偶者などからの暴力)の相談等98,289件のうち、生活の本拠を共にする交際相手(元を含む)からのものは20,083件(20.4%)で、同棲していた相手からの暴力も警察はDVとして数えています。
対象: 全国の警察が受けた相談等 / 限界: 警察に届いた件数だけで、相談しなかった被害は含まれません。
国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年)[1]
壊したりなくしたりしていない鍵の取替えは「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題」で、貸主の負担とするのが妥当とされています。鍵の紛失や不適切な使い方による破損での取替えは、借主の負担と判断される場合が多いとされ、紛失の場合はシリンダー(鍵穴の部品)の交換費用相当分を、住んだ年数を考えずに借主が負担するとしています。
対象: 賃貸住宅の退去時の費用負担の一般的な基準 / 限界: ガイドライン自身が法的な拘束力はないと書いています。住んでいる途中に、元交際相手が合鍵を持っていることを理由に替える場合の負担には触れていません。
| 場面 | ガイドラインの考え方 |
|---|---|
| 入居者が入れ替わるときの取替え(紛失・破損なし) | 貸主の負担が妥当 |
| 鍵をなくした・不適切な使い方で壊した | 借主の負担と判断される場合が多い(紛失は年数を考えず全額) |
| 住んでいる途中、別れた相手の合鍵が心配で替える | 記載なし。管理会社・大家さんに相談 |
03 お金をかけずに今日からできること合鍵が心配なとき、鍵をなくしたときは何をする?
今日やることは、鍵の本数を数える、管理会社か大家さんに連絡する、なくしたなら遺失届を出す、の3つです。交換の費用は、契約書とガイドラインを見てから話し合います。怖さを感じたら、一人で抱えずに相談窓口を使います。
鍵の本数を数え、誰が持っているかを書き出す
入居時に受け取った本数と、自分で作った合鍵の本数を、手元の鍵と比べます。ガイドラインは退去時に鍵を返すことを前提にしているので、本数がわかっていると後の話し合いも楽になります。
所要 5分
管理会社か大家さんに連絡して、交換を相談する
「別れた相手が合鍵を持っている」「鍵をなくした」と事情をそのまま伝え、交換するかどうかと費用を相談します。住んでいる途中の交換は国のガイドラインに書かれていないので、自分だけで決めずに先に連絡します。持ち家なら、交換を考える目安にしてください。
所要 10分
鍵をなくしたら、交番か警察署に遺失届を出す
警視庁によると、遺失届はどこの警察署・交番でも出せます。東京では、現金が100万円未満ならインターネットでも届け出られます。鍵と一緒にカードやスマホもなくしたら、発行元や携帯電話会社にも連絡します。
所要 15分
合鍵は返してもらう。ただし、無理に会わない
返してもらうのは大切ですが、複製されていないかは返却では確かめられません。会うのが不安なら会わずに、ステップ2の交換の相談を先にします。スマートロックや見守りカメラの共有も、同じ日に外します(見守りカメラやGPSタグを乗っ取るのは誰か)。
所要 10分
相談先を、今スマホに登録しておく
身の危険を感じたら110番。緊急でなければ警察相談専用電話 #9110。配偶者や交際相手からの暴力は、DV相談ナビ #8008(近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる)か、内閣府のDV相談プラス 0120-279-889 です。
所要 2分
04 習慣にするコツ鍵の不安を、もう一度抱えないためには?
合鍵は「作るとき」と「関係が変わるとき」に数え直します。鍵を外に隠さず、渡した相手と本数をメモに残しておくと、別れたときや引っ越しのときに迷いません。
- 合鍵を作ったら、渡した相手と日付をスマホのメモに残す。
- 合鍵は郵便受けやメーターボックスに置かない(警察庁が勧める対策です)。
- 同棲を解消するとき、引っ越すときは、鍵とスマート機器の共有を同じ日に見直す。
- 入居したら、前の住人の鍵が替えられているかを確かめる(引っ越し直後は狙われやすい?)。
住まいの隙は、一人暮らしの防犯チェックでまとめて確かめられます。オートロックがあっても合かぎ侵入が減らない理由は「オートロックのマンションは本当に安全か」、元交際相手などからのつきまといは「つきまといは誰から始まるのか」、帰り道で後をつけられたら「家に直行せず、人のいる場所へ行く理由」で詳しく紹介しています。
05よくある質問
賃貸で鍵を交換するとき、費用は誰が払うのが一般的ですか?
国土交通省のガイドラインでは、壊したりなくしたりしていない鍵の取替えは、入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題として貸主の負担が妥当とされています。鍵の紛失や不適切な使い方による破損での取替えは、借主の負担と判断される場合が多いとされています。ガイドラインに法的な拘束力はないので、契約書の特約も確かめます。
別れた相手が合鍵を持っているとき、交換費用は誰が払いますか?
住んでいる途中に、この理由で交換する場合の費用の分け方は、国土交通省のガイドラインには書かれていません。管理会社か大家さんに事情を話して、交換するかどうかと費用を相談します。
鍵をなくしたら、まず何をすればいいですか?
交番か警察署に遺失届を出し、管理会社か大家さんに連絡します。遺失届はどこの警察署・交番でも出せます(警視庁)。ガイドラインでは、鍵をなくした場合のシリンダー交換の費用は借主の負担とされています。
別れた相手の合鍵を返してもらえば安心ですか?
返してもらうことは大切ですが、複製されていないかは返却では確かめられません。交換の相談もしておくと確実です。会って返してもらうのが不安なときは、無理に会わず、#9110 や #8008 に相談できます。
一緒に住んでいた元交際相手でも、DVの相談窓口に相談できますか?
できます。内閣府の案内では、DV相談ナビ #8008 とDV相談プラス 0120-279-889 は配偶者・交際相手からの暴力の相談先です。警察の統計でも、生活の本拠を共にする交際相手(元を含む)からの暴力はDVの相談として数えられています。
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出典
- 国土交通省住宅局 (2011). 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版). https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
- 警察庁. 住まいる防犯110番「侵入窃盗の侵入手口・侵入口」(令和7年のデータ). https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1_main.html
- 警察庁生活安全局人身安全・少年課 (2026). 令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について. https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/R7_STDVRPCA_kouhou.pdf
- 内閣府男女共同参画局. 男女間における暴力に関する調査(令和5年度)報告書 Ⅱ-4 特定の相手からの執拗なつきまとい等の被害経験. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/r05/r05danjokan-6.pdf
- 内閣府男女共同参画局. ドメスティック・バイオレンス(DV)とは. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/index.html
- 内閣府男女共同参画局. 配偶者暴力相談支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html
- 内閣府男女共同参画局. 相談窓口の案内(リーフレット). https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/no_violence_act/pdf/leaflet_r6_ura.pdf
- 警視庁. 落とし物をした方. https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/sodan/otoshimono/lost_found.html


