空き巣・侵入窃盗

夏は空き巣が増えるのは本当か。研究でわかった「無施錠」のリスクと、涼みながらできる対策

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英国の庭園に残るサマーハウス(あずまや)の廃墟
Photo: Acabashi / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました(防犯グッズ・商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

夏は窓を開けて涼みたくなる季節です。研究では、空き巣(侵入窃盗)は昔から夏に多く、窓やドアの鍵をかけ忘れた「無施錠」からの侵入は、ほかの侵入手口が減っても減らないことがわかっています。鍵をかける習慣を少し見直すだけで、涼みながらでも対策はできます。

3行でわかる

  1. 侵入窃盗は、100年以上前から夏に多く1月に少ない傾向が研究で確認されています。
  2. 英国の研究では、こじ開けによる侵入が10年余りで77%減った一方、鍵のかけ忘れ(無施錠)からの侵入は件数が変わりませんでした。
  3. 気温そのものが直接の原因とは言えず、暑い日ほど侵入が増えるわけではないという研究結果もあります。

01 犯罪者側から見ると空き巣はなぜ無施錠を狙うのか?

空き巣は、物音や壊れた跡を残さずに入れる「無施錠」の窓やドアを好みます。

空き巣は、できるだけ気づかれず、短い時間で入れる家を選びます。鍵がかかっていない窓やドアなら、ガラスを割ったり鍵をこじ開けたりする必要がなく、物音も壊れた跡も残りません(ガラスを割って入る手口は「窓から入られないために。ガラス破りの手口と、時間をかけさせる工夫」で紹介しています)。

環境犯罪学では、動機を持つ人がいて、入りやすい対象(無施錠の窓)があり、見ている人がいない(留守)、という3つの条件がそろったときに犯罪が起きやすいと考えます。夏は、暑さをやり過ごすために窓を開けたままにしたり、旅行や外出で家を空ける時間が増えたりする季節です。「無施錠」と「留守」が重なりやすいことが、夏と侵入窃盗の関係を考えるときの見方になります。

02 研究と統計でわかっていること夏は本当に空き巣が増えるのか?

侵入窃盗は夏に多く1月に少ない傾向が長年の研究で確認されていますが、気温そのものが直接の原因とは言えません。

77%減こじ開けによる侵入(英国・1993→2006/07年度)
変化なし無施錠からの侵入(世帯1,000あたり7件・同期間)
-2.7%平年より1°F暑い夏の日の侵入窃盗の変化率(米シカゴ・2001〜2014年)

Dongら(2017)[1]

米国ヒューストン・ロサンゼルスの犯罪データでは、侵入窃盗は1月に最も少なく、夏にピークを迎える傾向が100年以上前から観察されてきました。

対象: 米ヒューストン市(3年分)・ロサンゼルス市(約10年分)の犯罪データ / 限界: 年ごとの変動の大きさを気温だけで説明することには、研究者自身が注意を促しています。

Tseloniら(2017)[2]

英国の全国犯罪調査では、鍵をこじ開けて侵入する「強制侵入」が1993年の世帯1,000あたり31件から2006/07年度には7件へと77%減りました。一方、鍵のかけ忘れ(無施錠)からの侵入は、同じ期間を通じて7件のまま変わりませんでした。

対象: イングランド・ウェールズの犯罪調査(1992〜2011/12年度の16回分) / 限界: 英国の住宅・治安制度が前提で、日本にそのまま当てはまるとは限りません。

Towersら(2018)[3]

米シカゴの約570万件の犯罪データを分析した研究では、夏の平均気温が平年より1°F(約0.6℃)高い日ほど、侵入窃盗はむしろ約2.7%少ない傾向がありました。

対象: 米シカゴ市警の犯罪記録(2001〜2014年、季節調整後は2002〜2013年) / 限界: 気温と侵入窃盗の関係は小さく、暑さそのものが被害を増やすとは言えません。

03 お金をかけずに今日からできること涼みながらできる対策は?

外出・在宅にかかわらず、無施錠の窓やドアを減らすことが対策の中心です。

1

出かける前に、窓とドアを声に出して確認する

「鍵、OK」と声に出して指差し確認すると、確認漏れが減ります。近所への買い物など短い外出でも同じです。

所要 10秒

2

涼みたいときは、窓を全開にしない

開ける幅を人の手が入らない程度に抑えるだけで、無施錠の窓を狙われにくくできます。在宅中は人の目があることも伝わります。

所要 0分(開け方を変えるだけ)

3

外出・旅行が続くときは「留守のサイン」を消す

郵便物や新聞が溜まっていないか、家族や近所に見てもらいます。旅行前の点検は「留守中の空き巣を防ぐ旅行前チェック。留守を見抜く手口と対策」も参考にしてください。

所要 5分

04 習慣にするコツ施錠を忘れないコツは?

家の窓とドアを一度数えて「閉める順番」を決めておくと、確認漏れが減ります。

「年末年始は空き巣が増える」という思い込みについては「「年末年始は空き巣が増える」は本当か。東京4年分の月別データで確かめた」で検証しています。季節の思い込みに頼らず、無施錠をなくす習慣のほうが確実な対策になります。

05よくある質問

夏に空き巣は本当に増えるのか?

米国の研究では、侵入窃盗は1年の中で夏に最も多く、1月に最も少ない傾向が100年以上前から観察されています。ただし、年ごとの変動のすべてを気温だけで説明することには研究者も注意を促しています。

暑い日ほど空き巣は増えるのか?

必ずしもそうとは言えません。米シカゴの研究では、平年より暑い夏の日は、むしろ侵入窃盗がわずかに少ない傾向がありました。気温そのものより、外出や旅行が増えることなど、別の要因が影響している可能性があります。

鍵をかけていれば、侵入窃盗を防げるのか?

英国の研究では、鍵などの対策が広がった結果、こじ開けによる侵入は大きく減りましたが、鍵のかけ忘れ(無施錠)からの侵入は件数が変わらず残りました。対策が効くのは「鍵をかけている」場合に限られます。

出典

  1. Dong, K., Cao, Y., Siercke, B., Wilber, M., & McCalla, S. G. (2017). Advising caution in studying seasonal oscillations in crime rates. PLOS ONE, 12(9), e0185432. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0185432
  2. Tseloni, A., Farrell, G., Thompson, R., Evans, E., & Tilley, N. (2017). Domestic burglary drop and the security hypothesis. Crime Science, 6(1), 3. https://doi.org/10.1186/s40163-017-0064-2
  3. Towers, S., Chen, S., Malik, A., & Ebert, D. (2018). Factors influencing temporal patterns in crime in a large American city: A predictive analytics perspective. PLOS ONE, 13(10), e0205151. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0205151